あんずのど飴:「高校時代の思い出」の本当の形?

2013/04/27Comic 漫画, 小学館

あんずのど飴 (IKKI COMIX)
冬川 智子
4091886140

『マスタード・チョコレート』の冬川智子、新刊2冊同時発売その1。

高校卒業から10年、同窓会に出席するために田舎に帰ってきた女性が自身の高校時代を回想するお話。

ぶっちゃけ物語的にはドラマチックな展開はほとんどなく、主人公とその友人だった女の子の姿が、主人公の目線から淡々と描かれてゆくだけである。ラストもなんだかスッキリしない、消化不良な感じの幕引き。

…と書くとなんだかつまらない作品のように聞こえるかもしれないけど、これって実はかなりリアルなお話なのではないだろうか。この物語と似たような高校生活の思い出を持っている人って、実はそんなに少なくないような気がするなぁ。

自分も含め、この物語と似たよう体験を持つ人にとっては、自分の中では“まぶしい思い出”ということにしておきたかった記憶を、無理やり本当の形に修正されてしまったような気分になるんじゃなかろうか。そしてそれもまた青春の一ページだと気づかされる、みたいな。

おそらくこの作品に共感できるのは現在の主人公と同じく三十路目前か、あるいはそれ以上の年齢の人だけだろう。逆にそれくらいの人にはぜひ一度読んでもらいたい作品でもある。

ボリューム/価格比という即物的な側面からしても決して安いとは言えないし(140ページで700円)、読後にカタルシスが得られるわけでもない。けど、刺さる人にはわりと長いあいだ心の片隅に引っかかる作品だと思う。個人的には主人公と同世代、アラサー女子の感想を聞いてみたいところである。




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