ひばりの朝 2巻:これはヤマシタトモコの呪いである。

Comic 漫画, 祥伝社

ひばりの朝 2 (Feelコミックス)
ヤマシタ トモコ
ひばりの朝 2

ややアオリ気味のタイトルで。そしてネタバレ全開で。

ということで完結となる第2巻。

1巻の感想では「男性にとってはちょっとしたホラーかも」と書いたけれども、最後まで読んだらそれどころではなかった。この作品は作者自身のネガティブな体験や感情を、男女問わず読者に巧みに共有させようとする物語である。

似たような系統の作品としては『さよならもいわずに』(上野顕太郎)や『ヤサシイワタシ』(ひぐちアサ)があるけど、あっちは設定がレアケースなのに対し、この作品の登場人物は皆わりと“普通”の日常を送っている人たちなので、自分も含め読者が共感しやすいというか、誰もが多かれ少なかれ持っているネガティブな思考・感情を容赦なく引きずり出すという。

巻末のあとがきや第1巻発売時の著者インタビューでもそれを自覚しているようで、なるほど、この作品はヤマシタトモコが読者に向けて放った呪詛のようなものなんだなと納得したしだい。しかし、一番刺さったのがあとがきの“言葉”ってのは、漫画としてどうなんだろうと思うと同時に、言葉の力ってやっぱり凄いなとも思った。

さて、作中で気になる「ひばりは本当に父親から性的虐待を受け(てい)たのか」という問題については、作中では明確な描写こそないものの、答えはほぼ間違いなくYESだろう。少なくとも作者の中ではそうだろう(そうあって欲しいだろう)し、読者にもそう解釈するように仕向けている。そう考えると作者自身を一番反映しているキャラはやっぱり富子ってことになるのかなぁ。

…というか、こんなこんなプロファイリングめいた感想を書いてしる自分は相当気持ち悪いな。が、こういうことを書きたくなるくらい心揺さぶられたのは確かで、個人的には間違いなくオールタイムベスト10に入る作品。積極的にはオススメできないけど、刺さる人には刺さりまくる作品ということでひとつ。




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