[漫画] 聲の形 7巻:いくつもの問題を提起しつつ綺麗な幕引き

2016/09/25Comic 漫画, 講談社

まずは祝・完結、そして「このマンガがすごい!2015」オトコ編1位おめでとうございます。

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最終巻となる今巻では石田の退院から文化祭での自主映画上映、そして高校卒業を経て成人式での再会&新たなる一歩を踏み出すところで幕という、実にスムーズなストーリー展開。

それでいて全体としては大団円というわけではなく、ジャンプ漫画でいうところの「俺たちの戦いはこれからだ!」的な終わり方。ただ、作品が扱ってきたテーマ上、この終わり方がほぼベストだったと言えるのではないだろうか。

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石田や硝子を中心とする仲間たちも、植野や佐原のように夢の第一歩をつかんだ人もいれば、硝子や永束のように目標に向けてまい進中の人もいれば、真柴や石田のようにまだ「何者」にもなれずにいる人もいる。物語の始まりからしてけっして綺麗事では済まされないお話だっただけに、それぞれのキャラがさまざまな立場から将来を見据えているのはこの作品にふさわしい気がする。

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そして石田と硝子があの場所へ向かうラストシーンへと繋がるわけだけど、今のふたりならどっちに転んでも前に進んでいけるんじゃないかと、厳しい現実を生きている読者からしてもほんの少しだけ希望と救いを得られたような気がする。

一方で本作は読者に対してさまざまな問題を提起してきた。いじめの問題、それにどう対処するかという大人(教師)の問題、障害者と彼ら・彼女らに関わる人たちの問題etc….これらの問題を考えるうえで本作はある意味手軽な入門書としても価値を持つかもしれない。元を正せば硝子の母はなぜ聴覚障害のある娘を通常学級に入学させたのか、まずはそこから考えていくだけでもいろいろ議論ができるだろう。

と、個人的には読みでもあったしいろいろ考えさせられるところも多い作品だったけど、以前の感想にも書いたように、硝子をもう少し不美人に描いていたら「結局硝子が美人だったからだろ」という物言いを封じられたのになぁ、とやや残念な気にもなる。

とはいえ、やはり本作はできるだけ読んでおいたほうがいい作品なのは間違いないだろう。すでに全巻電書化済みだし、全7巻とコンパクトなので未読の人はぜひ。

しかしアニメ版はテレビじゃなくて劇場版かぁ。原作既読前提のエピローグor外伝になるか、カットしまくりで本編をやるか…。どちらにしても現時点ではあまり惹かれないなぁ。というかこういう作品こそノイタミナでやるべきなんじゃないのか…。

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