[映画] 『コクリコ坂から』

2014/03/02Movie 映画, アニメ

『コクリコ坂から』 公式サイト

『ゲド戦記』では原作者からも「これはひどい」と言われてしまった宮崎吾朗監督。5年ぶりの監督第2作、はたして汚名返上なるか。

…駄作ではないんだろうけど(少なくとも脚本は駿だし)、個人的にはダメでした。

ただ、今回は宮崎吾朗だけに全責任を負わせるのはちょっと可愛そうかなぁ、という気はする。つっても監督なんだからそうも言ってられないけども。

まず、原作にこの作品を選んだ時点でかなり厳しかったと言わざるを得ない。企画・脚本の宮崎駿はアニメ化にあたってだいぶ手を入れたようだけど(自分は原作未読)、どう考えてもアニメ映えしない。ドラマ部分を評価する人はあまり気にならないのかもしれないけど、自分は「動いてこそアニメ」だと思っているので、今作のギリギリまで演出を削ぎ落とした映像にしょんぼり。せめてジブリ名物である食事のシーンをもうちょい頑張っててくれてたら…と思う。モブシーンはそれなりにジブリしていたけども。

また、時代設定が1963年というのも厳しい。ストレートに行くとこの時代の高校生つったら今は60オーバーなわけで、今作はまさかシルバー世代がメインターゲットなの? と皮肉を言いたくもなる。意図としてはこの時代を舞台にすることである種のノスタルジーを喚起しようとしているのだろうけど、今の日本において日本人の多くが共有するノスタルジー、もっというと共同幻想なんてものはもうないわけで、時代設定に多くのものを委ねる手法はもう通用しないんだろうなと。

内容に関して書くと、中盤でヒロインの海が思いを寄せる少年・俊の出生の秘密に関わる話になるのだけど、そのオチがあっさり見えてしまうのが残念。特に映画は90分しかないので、本来なら重要度が高いエピソードのはずなのにわりとあっさり流れてしまったような。

キャストに関してはヒロイン・海役の長澤まさみが微妙だったのを除けば違和感は持たなかった。舞台挨拶ではかなりテンション高かったのでもうちょい上手いと思っていたよ…。個人的には『ハウルの動く城』の木村拓哉のときのように「あれ、意外と違和感なくね?」という嬉しい誤算的な評価を下せるものと期待していたのだけど。

結論、キャラクターデザインを除けばスタジオジブリ製作である必要すら感じなかった。こういう内容ならA-1 Picturesあたりが得意そうに思えるけど、この地味な企画を通せるのはジブリブランドがあってこそだろうと思うとなんとも。

いちおう本作のよかったところを挙げておくと、なんといっても手嶌葵による主題歌『さよならの夏 ~コクリコ坂~』だろう。リメイク曲ではあるけど、手嶌葵の歌声&歌唱力のおかげで原曲と並ぶくらいの名曲に仕上がっていると思う。少なくともこの曲がエンディングで流れることで「あれ、この映画けっこう面白かったかも」という錯覚を起こしてくれる。

しかしもうこのままだと宮崎吾朗は「手嶌葵をジブリ作品に起用したこと」だけが唯一の功績になりそうだ。やはりスタジオジブリは宮崎駿とともに終わりを迎える運命か…。



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