
「ホロライブプロダクション」を運営するカバーは2026年5月8日、新たなタレント育成プロジェクト「mekPark(メクパーク)」を発表しました。
最長2年という限られた活動期間、そして「基準に届かなければ正式デビューすることなく活動終了」という一見シビアなシステムは、VTuberファン、とりわけホロライブのファンの間で賛否両論(今は否が多め?)となっています。
新衣装の実装や周年ライブ開催の機会を均等に設けるなど、既存の所属タレントに対しては平等(に見える)待遇をしてきたホロライブ。そのホロライブがこのような施策を打ち出してきたことは、それだけでも驚きですし、話題になるのもある意味当然でしょう。
ただ、個人的には各ユニットに所属するタレント(研究生)よりも、「それぞれのユニットに1名ずつディレクターが配属され、一蓮托生でデビューを目指す」という建て付けのほうが気になっています。
本記事ではこの「研究生3名+ディレクター1名」という構成から、mekParkが真に目指しているものは何かを考察(推測、ときに妄想)します。
本題に入る前に
本題に入る前に、まずはReal Soundのコラム記事「カバー「mekPark」の狙いとは何か? VTuber業界の「練習生制度」と他社事例から考える」を紹介します。
VTuberに詳しいたまごまご氏による同記事では、にじさんじの「VTA(バーチャルタレントアカデミー)」やバンダイナムコエンターテインメントの「vα-liv(ヴイアライヴ)」といった他社の練習生制度・候補生システムを引き合いに出しつつ、mekParkの仕組みや狙いについて論じています。
本記事における考察の前提にもなっているので、ぜひ読んでみてください。
mekParkで育成するのはタレントだけか?
筆者がmekParkの概要を確認して最初に思ったのは、「このプロジェクトはタレントの発掘・育成と同じくらい、あるいはそれ以上にディレクターの育成に重きを置いていそう」ということでした。
前出のVTAはあくまでタレント個人のスキルや配信適性を磨く学校(アカデミー)であり、デビューは完全な個人戦です。また、vα-livも候補生個人がファンの支持を集めて審査ラインを突破する構造と、どちらも「演者側」のポテンシャルにスポットライトが当たっています。
一方、mekParkにおける評価の指標は「運営による審査」「活動データ」「ファンからの支持」となっており、これはユニット全体が対象になります。つまり、本来裏方であるディレクターのディレクション能力が研究生3名の命運、ひいてはユニット全体の合否に影響を与えるということです。
研究生に十分な才能・実力があったとしても、ディレクターの能力不足でプロジェクト終了というシナリオもあり得ます。もちろん、ディレクターは有能だが研究生のほうが……というパターンもあるでしょう。
しかし、「タレント育成プロジェクト」であるはずのmekParkで、ディレクターまで評価対象にするのはなぜなのでしょうか。
なぜディレクターを評価対象に含めるのか?
「ディレクターだってプロジェクトの一端を担っているのだから責任を負うべき」という考えも当然あるでしょう。しかし、研究生の命運を握る重要な育成プロジェクトで、わざわざ(現時点では)素性も能力もわからないディレクターを評価対象に含めるでしょうか。
研究生とともにディレクターの存在も明らかにしたことで、ディレクターは研究生と同様に視聴者(ファン)から評価・批判されることになります。つまりこれはカバーがディレクターに対しても努力と責任、そして成果を求めていることの表れではないでしょうか。
「mekParkはディレクターの育成にも重きを置いていそう」と感じたのはまさにここです。
なぜディレクターの育成が必要なのか?
それではなぜカバーはディレクターの育成が必要だと考えている(と推測される)のでしょうか。
2026年5月現在、ホロライブには67名(holoAN含む)、ホロスターズには22名のタレントが所属しています。
彼ら・彼女らは一部の初期メンバーを除いて通常のオーディションを経てデビューしていますが、デビュー前にどこにいたか・何をしていたかということを考えると、彼ら・彼女らと同じような即戦力となりうるタレントを、従来のオーディションで見つけることは年々難しくなっています。
となれば、今後は自らタレントの原石を見つけ、一から育成する必要が出てきます。そのため、タレント候補だけでなく、マネージャーやディレクターなど、そのタレント候補を指導・育成できる人材も必要になるというわけです。
マネージャー部門に関しては(完全に機能しているかはともかく)すでに組織化できているようなので、今後はディレクター、ひいてはプロデューサーの雇用・育成も進めていくのではないかと考察します。
ディレクターを務めるのは誰か?

mekParkのディレクターについて、UNIT Bデビュー直後の時点では情報がありませんが、少なくともUNIT Bの外部のディレクション会社やフリーの個人ディレクターではなく、カバーの社員が務めるのではないかと推測しています。
というのも、UNIT Bが仮に目標を達成できずプロジェクト終了&解散となった場合、活動期間中に得た知見が十分に蓄積されないという問題が発生するからです。その点、ディレクターがカバー社員であれば知見は引き継がれ、新たな研究生を募集して再チャレンジすることができます。
もちろん、研究生だけでなくディレクターごと交代になる可能性はあります。その場合でも「元ディレクター」は別の立場からプロジェクトをサポートできますし、サポートしない(できない)場合でも知見は社内に蓄積されるので、制度設計的には合理的だと言えるでしょう。
「そんな、タレント候補を使い捨てみたいに扱うなんて」という意見もあるでしょうし、実際その点を批判する声も多く聞かれます。ですが、カバーはそんなことは承知のはずなので、ファン自身も承知のうえで応援する・しないを決めればよいと思います。
余談:ReGLOSSの250万人達成プロジェクトについて
ホロライブのディレクター(あるいはプロデューサー)関連トピックとして、hololive DEV_IS(ホロライブ デバイス)の第一弾ユニット「ReGLOSS(リグロス)」の「YouTubeチャンネル累計登録者数250万人達成プロジェクト」があります。
本来であればmekParkの比較対象としてセットで語るのがよいのですが、長くなりそうなのと一部話題が別方向にズレそうなので、今回はいったん割愛します。興味がある人はちょっと調べてみてください。
UNIT B・初配信の感想
さて、筆者も実際にUNIT Bの初配信を視聴しました。
率直な感想としては、たしかに「練習生」っぽいクオリティではありましたが、少なくとも「ストリーマー」を目指しているわけではなさそうなことは感じ取れました。実際、UNIT Bは音楽ユニットとして正式デビューを目指しているので「そりゃそうだろう」なのですが。
mekParkはいわゆる「成長コンテンツ」でもあるので、ここからどれだけトークスキルを上げたり、楽曲などのコンテンツを出したりできるのかが見どころになるのでしょう。
課題は「視聴者が期待する(許容できる)スピードで成長できるかどうか」でしょうか。
エンタメにもコスパ・タイパが求められる昨今、成長スピードしだいでは途中で脱落するファンも出てくるでしょう。最長2年というプロジェクト期間も正直長いな、と個人的には感じていますが、実際にはそこまで引っ張らないだろうとも予想しています。
いずれにせよ、今回一番手だった宵凪ネオンさんはトークが苦手ではなさそうなので、当面は彼女がトーク部分を引っ張っていくことになるのではないでしょうか(事実、個人配信の一番手は彼女だった)。
mekPark・今後の注目ポイント
今後mekParkを追いかけるにあたり、注目すべきポイントは以下になると思います。別に小難しいことを考える必要はないですし、直感で応援する・しないを決めればよいと思いますが、留意しておくと応援や考察にもより熱が入るかもしれません。
ACHRORAの初配信
mekParkのもうひとつのユニット・ACHRORA(アクロラ)の動向も当然注目です。ACHRORAの活動内容によって、UNIT Bとの違いやmekParkの狙いがより明確になるでしょう。
また、ACHRORAはUNIT Bと違い「プレデビュー」の但し書きがないところも気になります。最初から正式デビュー扱いのユニットとして、mekParkのミッションを遂行していくのでしょうか。
【2026/6/15追記】 ACHRORAのデビューが6月26日と発表されました。
ディレクターの情報公開
筆者自身の仮説を確かめるという意味で、個人的には非常に注目しています。ディレクターが社内・社外の所属なのかはもちろん、ユニット活動の中でどれくらい前面に出てくるのか(あるいは出てこないのか)も、mekParkの性質を知るうえで重要なポイントになると見ています。
UNIT B・正式デビュー条件詳細の開示
UNIT Bの正式デビューには昇格条件があることはすでに告知されていますが、いずれより詳細な条件が告知されると考えられます。
条件がゆるすぎると「出来レースだ」と言われ、厳しすぎれば「デビューさせる気があるのか」と言われてしまうので、条件設定もプロジェクトの重要なカギになるでしょう。
【追記】mekPark 第2回オーディション応募開始
2026年6月5日、早くも第2回オーディションの告知&応募が始まりました。応募期間から逆算するとデビューは早くて年末、普通に考えると2027年以降になりそうですが、同プロジェクトが来年以降も継続しそうなサインとして前向きにとらえることができそうです。
(参考・出典:Real Soundテック、COVER)



