コンシューマー分野が投資を主導、今後5年間で年平均成長率16%の成長
国際調査会社IDCは2025年5月26日、欧州・中東・アフリカ(Europe, Middle East, Africa、EMEA)のAR/VR支出に関する市場レポートをリリースした。
同レポートによれば、欧州・中東・アフリカ地域におけるAR/VR支出は2029年までに84億ドルに達し、今後5年間で年平均成長率(CAGR)16%の成長が見込まれるとしている。
コンシューマー分野がAR/VR市場への投資を主導し、この傾向は予測期間中も続くと予測。一方で、ヘッドセット需要の高まりを受けて、企業での導入も増加が見込まれる。
エンジニアリング・ヘルスケア・製造、小売といった業種はAR/VRソリューションへの支出をけん引し、2025年までにはこれらの業界だけで市場全体の半分以上を占める見込みだ。
建設や不動産を含むエンジニアリング分野では、可視化の強化やトレーニング能力の向上を通じて、生産性やコラボレーション、顧客体験の改善にAR/VRが活用されている。
ヘルスケア分野では診断支援や患者の自己管理の促進に、製造業では業務効率化と製品品質向上のために導入が進む。
コンシューマー分野はゲームを中心としたAR/VRソリューションへの投資により、今後も最大の支出割合を占め続けると見られる。
市場が複合現実(MR)および拡張現実(Extended Reality、ER)といった2つの新しいハードウェアカテゴリを含むようになったことで、IDCはEMEA地域のハードウェア支出の大部分をMRヘッドセットが占めると予測する。
顧客需要の高まりに加え、MetaやAppleの新モデル投入、新規メーカーの参入などにより、MRヘッドセットの出荷量は今後着実に増加する見込み。
IDCはまた、2025年半ばまでにVRヘッドセットの出荷が終了し、各メーカーが製品ラインをMRまたはERヘッドセットに移行すると予測している。

関連技術への支出においては、ヘッドセットを含むハードウェアカテゴリが依然としてEMEA地域のAR/VR市場における主要な構成要素となっている。
一方で、ソフトウェアおよび提供型サービスの分野では、MRアプリケーション開発、ソーシャルVRプラットフォーム、そして物理空間における共有デジタル体験を可能にするARクラウド技術の進展によって、もっとも急速な成長が見られる。
地域別の支出動向では西ヨーロッパが依然として最大の市場である一方、中東・アフリカ地域は今後5年間で年平均成長率(CAGR)20%超と、もっとも急成長する需要地域となっている。
(出典:IDC)