国内企業・ブランド連合によるARグラス誕生へ

ソフトウェア開発を手がけるjig.jp(ジグジェーピー)は2025年12月9日、一般向け商用ARグラスを提供する新事業を開始することを発表した。
ARグラス用ディスプレイおよび空間認識エンジンの開発を手がけるCellid(セリッド)、および福井県鯖江市の眼鏡メーカー・ボストンクラブと協業し、軽量・薄型の設計を強みとした“普段づかいできる”ARグラスの実現を目指す。本格的な販売開始時期は2026年4月以降を予定している。
“普段づかいできる”ARグラスの実現を目指す
jig.jpによれば、 国内市場においては「軽量性」(長時間装着に耐える重量)、「ファッション性」(日常的に眼鏡として着用できるデザイン)、「日本語ローカライズ(UI・カスタマーサポート)」の3点すべてを満たす製品はまだ存在しないという。
ユーザー側の潜在需要は顕在化しつつも適切な供給者が不足している状況で、日本国内では本格的なARグラスの競争環境がまだ形成されておらず、早期市場参入者が独自のポジションを確立できる余地があると分析している。
そこでjig.jpは、国内で唯一ウェーブガイド光学技術を有するCellid(セリッド)、および国内有数の眼鏡産地である鯖江(福井県)で高いデザイン力と製造実績を有するボストンクラブとの協業体制を構築。「普段かける眼鏡の延長で使用できる日本発ARグラス」の提供が可能と判断したという。
今回のARグラス事業における3社の役割分担は以下のようになると思われる。
jig.jp(ジグジェーピー)

自社のソフトウェア開発力及びUX設計力を活かし、翻訳機能・テレプロンプト機能・通知・スケジュール表示および生成AI連携など、日常生活の利便性向上を目的とした機能を開発・提供する。
Cellid(セリッド)

ARグラス用ディスプレイおよび空間認識エンジンの開発を手がけるCellid(セリッド)。
プラスチック製のフルカラ—ウェイブガイド「Plastic G1」の開発実績があり、薄さ・軽さと広視野角を両立するディスプレイモジュールを提供できる。また、同社独自のARグラスリファレンスモデルも発表しており、その知見も製品の統合において大きな利点となる。
ボストンクラブ

福井県鯖江市の眼鏡メーカーとして、長年の生産経験とデザイン力を持つ。
国内有数の眼鏡産地である鯖江拠点での加工技術や量産ノウハウ、眼鏡としてのフィッティングや美的設計、鯖江のブランド力をARグラスに落とし込むことで、「かけたくなる」デザインと装着性の実現が期待される。

今後の見どころ
jig.jpでは製品の本格的な販売開始時期を2026年4月以降予定としている。商用販売に向け、プロトタイプの発表や限定先行販売が行われる可能性に期待したい。
また、将来的には海外市場への展開も視野に入れたいとしていることから、先行する海外製品と比較して機能や価格・デザイン面で競争力のある製品に仕上がるかも注目ポイントになるだろう。
なお、直近ではCellidが2026年1月6~9日に米国で開催されるCES 2026への出展を発表済み。同社の最新技術を確認する好機になるはずだ。
(出典・参考: jig.jp (※PDF)、 PR Times)

