AI生成機能・新エンジン・クリエイター収益強化などを発表

現地時間2025年9月5日・6日に米カリフォルニア州サンノゼで開催された、Roblox(ロブロックス)の年次開発者会議「Roblox Developers Conference 2025(RDC 2025)」。
今年のRDCでは、クリエイター支援とゲーム体験の拡張を目的とした新機能・施策が多数発表されました。本記事では、RDC 2025での発表内容をまとめたRoblox公式ブログ記事「RDC 2025」を日本語抄訳+αで紹介します。
RDC 2025で発表された内容(抄訳)
Robloxの目標は「世界のゲームコンテンツ収益の10%をRoblox経済圏に取り込むこと」であり、そのためにAI・ゲームエンジン・収益化・安全基盤の全領域で強化を進めています。
1. Robloxの成長状況
- デイリーアクティブユーザー(DAU)は1億1180万人を突破。体験(ゲーム)への累計訪問は3900億回以上
- ユーザーは平均で月21以上の体験にアクセスしており、クリエイターの収益も増加
- 2024年度にはRobloxの換金システム(DevEx)を通じて開発者が10億ドル以上を獲得
- 世界中で数千人がフルタイム相当の収益を得ており、Roblox開発は有望なキャリアパスになりつつある
- ブラジル・サンパウロのデータセンターが稼働し、ブラジル地域でのパフォーマンスと遅延改善を実現
2. コンテンツ制作を支える新技術
ゲームエンジンとAIの革新
- 10万人同時接続・フォトリアル表現・低遅延を実現する次世代ゲームエンジンを開発中
- AI生成機能が進化し、静的3Dではなく「動作可能なオブジェクト」を生成可能に。例:車や武器を指定すると、即座に走行・発射が可能なアセットが生成され、制作者は独自のロジックを追加できる
- これらにより、小規模チームや個人開発者でも高度な体験を構築可能に
新しい言語ツール
- Text-to-Speech / Speech-to-Text API: 音声ナレーションやNPCの会話、音声コマンド(「Fire!」のかけ声で砲撃するなど)を低コストで実装。Text Generation APIと組み合わせることで、NPCが文脈に沿った自然な対話を実現可能に
- リアルタイム音声翻訳: 英語・スペイン語・フランス語・ドイツ語から対応開始。異なる言語を話すユーザー同士をつなぐ
Studio Assistantの強化
- Model Context Protocol(MCP)対応により、Figma、Blockade Labsなどの外部アプリと連携可能に
- 複数ツールを横断した複雑なタスクを自動化し、制作効率を飛躍的に高める (※解説動画)
3. 高品質・競争性ある体験の実現
- SLIM技術の導入: 複雑なモデルを軽量化し、低スペック端末でも高品質な世界を実現
- サーバー権威性(Server Authority): 不正防止や物理挙動のリアリティを向上させる (※解説動画)
- カスタムマッチメイキング: スキルレーティングなどを組み込み、公平で競争性のある体験を提供
- アバターのアップグレード: 走る・登る・泳ぐ・よじ登るといった動作が可能になり、スポーツや障害物競走などのジャンルに広がりをもたらす
4. コンテンツ発見&拡散方法の刷新
- 検索・レコメンドアルゴリズムの透明化: 開発者が自らの体験がどの指標で評価されるか確認可能に
- Roblox Moments(β版): ユーザーがゲームプレイのショート動画を撮影・編集・共有でき、他のユーザーは「Join」ボタンで即体験に参加できる。MomentsのAPIやソースコードも提供予定で、クリエイター自身の宣伝・拡散にも活用可能
- 広告機能の強化: 2025年だけで4.5万以上の体験がAds Managerを利用。今後は収益最適化機能や分析改善も追加
5. 成長戦略とIP提携
- グローバルIPと提携し、ファン層をRobloxに呼び込む
- 既存パートナーとしてLionsgate、Netflix、セガ、講談社が参画。新規追加IPとして『ブルーロック』『転生したらスライムだった件』のコンテンツをリリース予定
- Lionsgateはハロウィン向けに『ブレア・ウィッチ』などのホラー作品を提供予定
- さらに新パートナーとしてInvisible Narratives、Mattelが参画
6. 収益モデルの進化
- Robux換金レートの引き上げ: 換金レートを8.5%引き上げ、クリエイターの収益を直接拡大
- リージョナルプライシングの拡張: 地域経済に応じた価格設定が可能に
- Creatorリワード / 動画広告: クリエイターの収益化手段を拡大
7. 安全と健全性
- 2025年だけで100以上の安全施策を導入
- 年末までに、プラットフォーム上の通信機能を使う全ユーザーに年齢推定の必須化を実施。これにより、現実で知り合いでない限り、成人と未成年の直接コミュニケーションを制限
- 「安全で健全な基盤」を重視し、ユーザー・親・開発者・パートナーと協力して安心できる空間を維持する
まとめ
RDC 2025でのRobloxの発表は、AIによる制作支援から体験拡散の仕組み、グローバルIPとの連携、収益増加、安全強化に至るまで幅広い領域を網羅しています。
いずれの施策も、「創造を加速し、世界中のユーザーを安全につなぎ、収益性を高める」という長期ビジョンに基づいており、Robloxは今後も世界的な創作・交流の中心地として進化していく見通しです。
【補足】 Roblox(ロブロックス)とは
Roblox(ロブロックス)は、数百万もあるというゲームが遊べるオンラインゲームプラットフォーム。Robloxはスマホ・PC・ゲームコンソールなど複数のデバイスに対応し、基本プレイは無料です。
ユーザーはゲーム(Roblox自身は「体験」と呼んでいる)を遊べるだけでなく、自身でゲームを作って他のユーザーに遊んでもらうこともできます。それゆえ、Robloxは「ゲーム版YouTube」と説明されることもあります。
以下にRoblox公式ページ・アカウント一覧を掲載しますので、興味があれば一度アクセスしてみてください。
● Webサイト
● YouTubeチャンネル
● 日本公式X / 英語公式X(本家)
● TikTok
● Instagram
● Facebook
● ブログ(Newsroom)
【補足2】 Roblox関連記事
RDC 2025開催に合わせ、海外WebメディアGamesBeatが2つのインタビュー記事を公開しています。興味があればこちらもチェックしてください。
● Roblox CEO on growth, attracting triple-A games, and the metaverse | Dave Baszucki interview
Roblox CEO、デイビット・バシュッキ氏へのインタビュー。RDC 2025での基調講演後に行われたプレス取材の内容が簡潔にまとめられています。
● How Grow a Garden took off on Roblox | Janzen ‘Jandel’ Madsen interview
ニュージーランドのRobloxゲーム開発スタジオ・Splitting Point StudiosのJanzen “Jandel” Madsen氏へのインタビュー記事です。彼らが見出し、爆発的に成長させたRobloxゲーム『Grow a Garden』について語っています。
(参考:Roblox [1]、 Roblox [2]、Roblox [3])