Roblox(ロブロックス):未成年ユーザーの安全問題について(2025年8月)

未成年ユーザーの安全に関する問題が表出、米国で騒動に発展

アイキャッチ:Roblox(ロブロックス)のユーザー安全問題(2025年8月)

 スマホやPCを通じて、数百万もあるというゲームが遊べるオンラインゲームプラットフォーム・Roblox(ロブロックス)。

 ユーザーはゲーム(Roblox自身は「体験」と呼んでいる)を遊べるだけでなく、自身でゲームを作って他のユーザーに遊んでもらうこともできます。それゆえ、Robloxを「ゲーム版YouTube」と説明する人もいるくらいです。

 そのRobloxで2025年8月中旬、未成年ユーザーの安全に関する騒動がありました。

 引用記事は騒動の内容が中心で、その後Roblox側がどのような行動をとったかについてはあまり触れられていないので、本記事ではそのあたりをもう少しくわしく記します。

未成年ユーザー保護のためにRobloxはどのような対策を講じているか

 今回の騒動を受け(あるいは先んじて)、Robloxからはいくつかのアナウンスが出されています。

1: Robloxからの「自警団」の排除について

https://corp.roblox.com/newsroom/2025/08/more-on-removal-of-vigilantes-from-roblox 

 冒頭の引用記事でも語られているSchlep氏の行為について、Robloxは(名指しこそしていないものの)「自警団(Vigilantes)的行為」であるとし、そもそもRobloxの規約に反していると説明。違反行為についてはRoblox側で用意したフォームを通じて通報するよう呼びかけています。

 また、“自警団”排除のもうひとつの理由として、自警団と称する人たちがわざと他のユーザーを「釣り出す」ような行為をしていることを問題視しているとも語っています。

2: ロブロックス、ルイジアナ州司法長官の訴訟に回答

https://corp.roblox.com/en/newsroom/2025/08/roblox-responds-to-louisiana-ag-lawsuit

 今回の騒動に関して、米ルイジアナ州では「未成年者の保護対策が十分でない」としてRobloxに対して訴訟を起こしました。

 Roblox側は係争中の訴訟についてコメントしないとしているものの、自社の見解や同社が行っている取り組みについてあらためて説明しています。

3: 恋愛・性的なコンテンツに関するポリシーの明確化

https://corp.roblox.com/en/newsroom/2025/08/extending-roblox-policy-on-romantic-and-sexual-content

 Robloxでは未成年ユーザー保護の観点からこれまでさまざまなルールを設定していますが、今回の騒動を受けさらに新たなルール、とりわけ恋愛や性的コンテンツに関するルールを発表しました。

暗示的な性的表現も禁止対象に追加

これまで禁止されていた「恋愛・性的コンテンツ」だけでなく、身体の表現、行動、アバターの衣装、エモート、設定などによって“性的行為を連想させる内容”も明確に禁止する。

レーティング未設定の体験は開発者のみアクセス可能

これまで13歳以上のユーザーが利用できた「未評価(unrated)の体験(ゲーム)」は、今後は開発者とその協力者のみ利用可能に。体験を一般公開するには、開発者が「成熟度とコンプライアンスに関するアンケート」を提出し、年齢制限ラベルを取得する必要がある。

違反行為を自動検出する新技術を導入

お絵描き機能付き体験などで、ユーザーが描いた不適切な内容(性的描写など)が検出された場合、自動的に該当サーバーを停止する仕組みを導入。その後、開発者と協力して問題発生の防止策を検討する。

既存のルールへの組み入れ

上記のルールを、当初の予定より前倒しで既存の「コミュニティ基準」や「利用規約」、「制限付きコンテンツの定義」に組み入れる。すでに導入されている早期検知、年齢推定、保護者向け機能とも連携させる。

特定の体験の年齢制限強化

チャットが中心の「Social Hangouts」に分類される体験のうち、ベッドルームやバスルームのようなプライベート空間を含む体験は、17歳以上かつ本人確認済みユーザーのみ利用可能に。また、バーやクラブなど“成人向け環境”を表現した体験も同様に制限し、17歳未満には表示やおすすめに出ないようにする。

4: テックトーク:安全への取り組みの最新情報

https://corp.roblox.com/en/newsroom/2025/08/tech-talks-update-on-roblox-safety-initiatives

 今回の新ルールを含むRobloxのユーザー保護対策について、CEOのデイヴィッド・バシュッキ(David Baszucki)氏が自ら説明する動画が公開されています。

日本の未成年ユーザーへの影響は

 筆者の周囲ではほとんど観測できませんが、日本でも小・中学生の間でRobloxユーザーは増加傾向とのこと。

 日本独自のユーザー保護対策などはないようですが、当然日本もグローバルルールが適用されます。今回の新ルールも含め、特に小さい子供を持つ親は保護者向け機能をしっかり設定するなどして自衛するようにしましょう。

 ちなみにインドネシアでは子供への影響を懸念し、政府がRobloxを遮断する可能性も示唆しているようです。


(参考: The VergeEngadgetSouth China Morning Post