本記事はソーシャルVR / メタバースアプリ「Spatial」について、その概要と使いかたをまとめたものです。Spatialはリリース直後あたりに少し触った程度だったのですが、久しぶりに覗いてみたら思った以上に進化を遂げており、「これはデジタル空間上の拠点にできるかも」とちょっと期待しています。
なお、本記事では使用するスクリーンショットなど、PC版(Webブラウザ版)をメインに話を進めていきます。
Spatialとは何か
SpatialはVRヘッドセットやWebブラウザ、スマートフォンから利用するバーチャル空間サービス、あるいはソーシャルVR / メタバース的なアプリです。
Spatialは当初、ビジネス向けのバーチャル会議アプリとしてリリースされましたが、2021年11月のAWE(Augmented World Expo)でピボットを宣言。主にNFTクリエイターやその顧客・ファンを対象にしたサービスに生まれ変わりました。
「生まれ変わりました」と言っても、実際にはそれまでのSpatialを改修・機能拡張したものなので、実態としては「ソーシャルVR+パーソナルNFTギャラリー」といったところです。
NFTと聞いて警戒する人も少なからずいると思いますが、NFTアートを表示・取引できる機能があるというだけで、サービス利用に暗号資産やNFTが必要というわけではありません。
ということで、実際にSpatialの使いかたなどを解説していきます。
入門編
アカウント作成 / ログイン / 基本操作
Spatialで個人スペースを持つためにはユーザーアカウントが必要です。ユーザーアカウントの作成からログイン方法、基本的な操作方法についてはマニュアルをオンラインで公開している方がいるので、そちらを紹介しておきます(下記リンク)。
こちらのマニュアルではPC(Webブラウザ) / スマホ / Meta Questの各デバイスについて、アカウント作成からログインまで日本語で丁寧に解説しています。Spatialのアップデートにより画面が一部異なる個所などがありますが、適宜読み替えれば問題なく進められるでしょう。
● 一度アカウントを作成した後は、トップ画面のメニュー「Your Spaces」から自分のスペースにアクセスできるようになります。
● PC(Webブラウザ)ではログイン方法としてGoogleアカウント / Apple ID / Microsoftアカウント / Eメールのほか、暗号資産ウォレットであるMetaMaskも利用できます。
初級編
アバターのカスタマイズ
自分のスペースに入るとすでにアバターがいますが、これをカスタマイズしましょう。画面右下のアカウントアイコンにカーソルを合わせるとメニューが出るので、「Edit Avatar」を選択します。
(1) デフォルトアバター : デフォルトで11体のアバターがいるので、好きなものを選びます。肌の色と上着の色はスライダーで変更可能です。
また、頭部は顔写真から生成することも可能です。アバターカスタマイズ画面の「USE REALISTIC HEAD」(「GENERATE HEAD」「REGENERATE HEAD」と表示される場合あり)を選択すると画像アップロード画面になります。ここから顔を撮影 or 写真をアップロードすると、アバターの頭部が写真から生成されたものに変わります。
ちなみに画像はイラストでもOKですが、いい感じに変換されるかは元のイラストしだいです。
(2) Ready Player Meアバター : Spatialは3Dアバター作成プラットフォーム「Ready Player Me」と提携しており、Ready Player Meのシステムを使ってアバターを作成できます。デフォルトアバターと同様に顔写真から頭部を作れるほか、デフォルトアバターと比べてカスタマイズの幅が広いのがメリットです。
Ready Player MeはSpatialのほか、VRChatやMozilla Hubs、Somnium Spacesなど、多数のソーシャルVRやゲームと連携できます。アバター管理が楽になるので、SpatialやVRChatなどを利用する機会が増えそうなら、Ready Player Meのアカウントも作っておいて損はありません。
スペースの共有
自分のスペースに他のユーザーを招待することができます。画面右上の「Share」からメニューを開き、中にある「COPY」を押すとスペースのURLがクリップボードにコピーされるので、そのURLを相手に伝えればOK。相手はURLをクリックするだけでスペースに入れます(アカウント不要)。
また、Eメールで相手にURLを送ることもできます。Eメールで送る場合は「Invite by email」を選択。出てきたウィンドウに相手のメールアドレスを入力して「Send」ボタンを押せばOK。複数人にまとめて送る場合はメールアドレスをカンマ区切りで入力してください(Separate multiple addresses by commas)。
中級編
スペースのカスタマイズ
(1) オブジェクトの追加
自分のスペースにはオブジェクトを追加/削除することができます。画面下中央にあるメニューアイコンの「+」を押し、ポップアップメニューからアイテムを選択します。
デフォルトで用意されている「STUFF」(物)や「FURNITURE」(家具)のほか、SketchFabや自身が所有するNFT、ローカルドライブにあるデータを持ち込むことができます。
スペース内に持ち込んだアイテムはドラッグで大まかな位置に移動させた後、細かく座標を合わせるとよいでしょう。配置したアイテムはロック処理をすることで位置を固定できます。
ちなみに絵画フレームや鏡はドラッグしたままうまく移動すると、いい感じに壁にピッタリ貼りつきます(机の上など、水平方向へは貼りつかないようです)。
(2) 画像のアップロード/差し替え
絵画フレームには自分の好きな絵を飾ることができます。空のフレームでもすでに他の絵が飾ってあるフレームでも、クリックすることで画像を挿入/入れ替えできます(アイコン表記はそれぞれ「Upload」「Replace」)。
画像は基本的にローカルドライブにあるものからアップロード。GoogleドライブやMetaMaskと連携すれば、そこにあるデータも持ち込み可能です。アップロード可能なファイル形式はpngとjpgまでは確認済み。なお、フレームは画像のサイズに合わせて自動的に縦横比などが変化します。
また、他のオブジェクトと同様、EDITモードでフレームの位置やサイズの変更、オブジェクトの複製、アイテムに関するテキスト情報の付記などができます。
他サービスとの連携
Spatialにログインした状態で、サービストップのアカウントアイコンをクリック(またはここをクリック)。「Integrations」を選択すると連携可能なサービス一覧が出るので、必要に応じて連携しましょう。
現時点ではMetaMaskウォレット / Solanaウォレット / Microsoft 365(OneDrive / SharePoint) / Google Drive / Sketchfabと連携可能です。
上級編
スペースの自作
VRChatやclusterなどと同様、Spatialではオリジナルのスペースを作ってアップロード&公開することができます。スペース制作に必要なのはUnityと、Spatialが提供する「Spatial Creator Toolkit」。自作と言ってももちろんフルスクラッチである必要はなく、Unityアセットストアなどで購入したり、制作代行をお願いするなどしてもよいでしょう。
Spatial Creator Toolkit(Spatial SDK)の導入方法については別記事にて解説しているのでご参照ください。
有料プランへの加入
Spatialは大半の機能が無料で使えますが、有料プラン(Spatial+)に加入することでできることが増えます。無料プランと有料プランの違いは下の表のとおりです。
なお、有料プランは月額25ドルですが、年間一括契約にすることで月あたり20ドルにディスカウントされます。有料プランへの加入はこちらから。
無料プラン | 有料プラン(Spatial+) |
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・Google / Apple / Microsoft / MetaMaskアカウントでのログイン ・スペースの作成 ・自撮り写真の3Dアバター作成 ・画像 / 動画 / 3Dファイルのアップロード ・カスタム3D環境の購入/アップロード ・MetaMask / Google Drive / OneDriveからのファイルアップロード ・スペース内でのスクリーン共有機能 ・スペース内に置ける付せんメモ機能 ・1スペースあたり50人入室可能 | フリープランの内容に加え、 ・トークン所有者のみアクセス可能なスペースへの入場 ・最大500人入室可能に(50人入室可能なスペース×10インスタンス) ・管理者ツールの利用(閲覧のみモード / 参加者のミュートと削除 / ホストの指定の設定などが可能) ・リアルタイム翻訳 ★有料プランは月額25ドル。年間一括だと月あたり20ドル |
その他
● スマートフォン版では画面をピンチイン / ピンチアウトすることで三人称と一人称に視点を切り替えることができます(PC版はマウスホイールで変更可)。
● 誤操作などでアバターを削除してしまうと自分のスペース内を歩き回れなくなってしまいます。アバターを削除してしまった場合、「Edit Avatar」で再度アバターを作成してください。
● Spatial公式アンバサダーのひとり・GardenBee氏は日本人で、Spatial上で複数のスペースを公開しています。また、自身のYouTubeチャンネルではSpatialの解説動画や活動記録動画などを公開しているほか、Webサイト「Spatial日本語マニュアル」(非公式)も運営しており、どちらもたいへん参考になります。