野球ファンには認知済みのホロライブ。さて次は? 【翻訳転載】
米ロサンゼルスで「ホロライブ・ナイト」が再び成功を収めたあと、カバー社のCEO・谷郷元昭氏はいくつかの質問に簡潔に答えてくれた。
By Jay Agonoy (2025/7/26)

2024年7月5日、「ホロライブ・ナイト(hololive night)」がドジャー・スタジアムで初めて開催されたとき、野球ファンは最初こそ戸惑ったかもしれない。
「私たちの目標は、VTuberとは何かを人々に知ってもらうことです」と、カバーの米国拠点・COVER USAのセールス&ライセンスディレクターであるマックス・キム(Max Kim)氏は昨年、ロサンゼルス・タイムズ紙で著名なスポーツライター、ビル・シャイキン(Bill Shaikin)氏に語っている。
その後に起きたことは、彼らの当初の目標を超えるものだった。試合中のショーに出演したスターの一人、がうる・ぐら(Gawr Gura)は、幸運のお守りとして高く評価されたのだ。日本のホロライブタレントである兎田ぺこらと星街すいせいも、ぐらとともに昨年出演している。
ドジャースはその試合でミルウォーキー・ブルワーズに8対5で勝利。その後、ニューヨーク・ヤンキースを4勝1敗で下してワールドシリーズチャンピオンに輝いた。
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(「私を野球に連れてって (Take Me Out to the Ball Game)」: VTuberファンと野球ファンがドジャー・スタジアムでともに楽しむ/写真提供: YanchaGoGo / DropOuts)
今年のイベントは一味違う。注目はホロライブEnglishのスターたちに集まり、スポーツ・イラストレイテッドのようなメディアが、ファンが作ったミームを実際のポスターと勘違いするというハプニングも起きた(ファンらしいユーモアだ)。
カバーCEOの谷郷元昭氏(YAGOO、ヤゴー)は始球式を務め、試合後のショーはスタジアムから配信される初のVTuberイベントとなった。
ただし、例外はがうる・ぐらが今年5月に卒業したことだ。しかも、この日のドジャースの対戦相手は強敵ヒューストン・アストロズ。ぐらの不在も響いてか、ドジャースはアストロズに4対6で敗れた。
とはいえ、悪いニュースばかりではなかった。この日は大谷翔平選手の誕生日でもあり、日本の二刀流選手のファンであるIRySにとっては特別な日になったに違いない。

フィールドの様子
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(ホロライブのスターに扮したコスプレイヤーがドジャースのユニフォームで登場/写真提供: YanchaGoGo / DropOuts)
筆者はドジャースの熱狂的ファンである特派員・YanchaGoGo(DropOuts所属)から送られてきた映像を見ていたが、ホロライブファンと野球ファンが楽しんでいる様子がしっかりと伝わってきた。
Yancha氏自身も、星街すいせいの姿で公式のドジャース・ユニフォームを着用。運よくYAGOO氏との写真も撮れたようだ。
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(コスプレイヤーたちがカバーCEO・谷郷元昭氏とポーズを取る/写真提供: YanchaGoGo / DropOuts)
私たちはしばらく時間を置いてから、YAGOO氏にメールで連絡を取った。彼の返答は簡潔だったが、そこには深い意味があると感じた。
「今年は試合後のライブパフォーマンスを(球場のスクリーンで)配信しましたが、ファンの皆さんにはより楽しんでいただけたと思います」と、YAGOO氏はVTuber NewsDropに語った。「大谷翔平選手の誕生日というだけでなく、彼が登板する前に始球式を務められたことを光栄に感じました」。
試合後には観客全員がフィールドに降りてIRyS・古石ビジュー・一伊那尓栖(にのまえ・いなにす)の3人のステージを大画面で観賞し、より没入感のある体験をすることができた。
関連グッズはライフスタイルの一部に
昨年、野球ファンはホロライブ・ナイトを通じてVTuberの影響力を実感した。しかし、このイベント開催にあたってYAGOO氏は大きな期待を抱いていたのだろうか?
「昨年はグッズがすぐに完売するなどの課題があったため、今年はより多くの人に楽しんでもらえるように工夫しました」。

今年のグッズセットには、公式商品であるアクリルピンやスタンド、タンブラー、限定のベースボールカードなど、多彩なアイテムが含まれている。昨年は1つのテントでしか販売されなかったが、今年はスタジアム内に7か所の販売場所が設けられ、列の待ち時間は大幅に短縮されたとhololive TODAYが確認している。
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(観客が試合前に列を作る様子/写真提供: YanchaGoGo / DropOuts)
COVER USAの役割は、ホロライブブランドの拡張とローカライズだ。このドジャースとの契約は、単なる企画イベントにとどまらず、限定グッズがオークションで高値を付けるほど価値がある。そこで今年は、各アイテムにつき1人3個までという購入制限が設けられた。
ファンはグッズを記念品として買っているのか、それとも日常的に使っているのか、YAGOO氏に聞いてみた。
「ファンの皆さんは、好きなタレントを応援するためにグッズを購入していると思います。最近はアパレル商品の売れ行きも好調なので、ライフスタイルの一部になりつつあると感じています」。
ドジャー・スタジアムで販売されているもの以外でも、彼の言葉を裏付ける例はすぐに2つ思いつく。
1つは、ホロアース・マーケットプレイスで購入でき、ゲーム内でも使えるアパレルなどのメタバースアイテム。もう1つは、香港のオタク系デザイナー、ゴードン・ヤン(Gordon Yeung)氏による、タレントをインスパイアしたファッションアイテムだ。
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(今年の出演者である古石ビジュー・一伊那尓栖・IRySのスタンドと一緒に記念撮影をするファン/写真提供: YanchaGoGo / DropOuts)
野球の次はどのスポーツへ?
ホロライブが2回のナイターイベントを開催した今、次はどのスポーツチームとコラボするのだろうか。YAGOO氏はこう語る。
「将来的には、NBA(八村塁選手が所属)やNFLなどともコラボできたらと思っています」。
富山県出身の八村塁選手は現在、ロサンゼルス・レイカーズのフォワードとして活躍しており、2019年にはワシントン・ウィザーズからドラフトされている。
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(ホロライブEnglish -Advent- のスターたちも、ホロライブ・ナイトのバラエティショーで観客に向けてメッセージを送った/写真提供: YanchaGoGo / DropOuts)
カバーが米国オフィスを正式に設立する前後には、イベント主催者であるCAPSULEにはすでにコラボイベントの開催が許可されていた。
たとえば、昨年4月に台湾で開催されたコラボイベント「Cheer UP Road Run」は成功を収めたが、同企画は今年11月、米国のエンゼル・スタジアムでも実施される予定だ。
YAGOO氏はさらにこう述べている。
「アニメファンだけでなく、ゲーマーにもリーチする必要性を認識しており、今後はゲーム関連イベントへの参加を強化していきたいと考えています」。
これは、ホロライブプロダクションおよびそのタレントたちが、ゲームイベントへと活動範囲を広げていることを指している。もしかすると、EVOやCEOtakuなどの大会が次の舞台になるかもしれない。昨年、兎田ぺこらがThe Game Awardsでノミネートされたことも、その可能性を後押ししている。
ホロライブが自社音楽レーベル「hololive RECORDS」を立ち上げた今、その音楽がテレビやラジオなどの既存メディア、ゲーム(リズムゲームや家庭用ゲーム機)、CDやアナログ盤といった物理メディアに展開される可能性はあるのか、YAGOO氏に尋ねてみた。
「hololive RECORDSは立ち上げたばかりなのでまだこれからですが、今後は既存メディアでの露出機会も増やしていきたいと考えています」。
(※本記事はDropOutsおよびhololive TODAYの協力により作成された)
※この翻訳記事のサムネイル画像および記事中画像はPR Timesのプレスリリース素材から作成しました。