VTuberはもはやスーパーチャットやカラオケ配信、ゲーム実況をするだけの存在ではない。
By Jay Agonoy (2025/12/24)

2025年は企業系VTuberにとっては引き続き波乱の年であった一方、VTuberシーン全体に目を向けると、革新と成長の年でもあった。
一年を通して、これまで以上に多くのコンサートやお披露目会、ファン向け体験がリアル会場で開催され、VTuberたちは従来のオンラインの枠を超えて新たな視聴者層と出会う機会を得た。
2026年に向け、VTuberたちの前にはこれまで以上に多くの道が開かれている。活動できるプラットフォームは増え、ファンと出会う手段も多様化し、コラボレーションの機会も拡大。観客が実際に持ち帰ることのできる、より具体的で実感のある体験も提供できるようになった。本稿は、2025年総括の第2部である。
2025年もなお続く、YouTubeとTwitchが直面する課題

Brave group USの所属タレントが収益化停止処分を受けたり(※1)、MythosのVTuberグループ「DIVINOS」やSock Agencyの所属タレントMalfinaが、デビュー前にもかかわらず不正行為を理由にアカウント停止となった事例が見られた(※2)。
また、MOTHERv3はTwitchでのBANを解除するために弁護士を立てる必要があった。同様に、FREAMが自身の商標を侵害するチャンネルの削除をYouTubeに求めたところ、逆に本人のチャンネルが削除されてしまったケースもある。
昨年解散したProduction kawaiiの元メンバーの半数はいまだに収益化の回復に苦しんでおり、YouTubeが彼女たちの懸念に対応していないことも状況を悪化させている。
ここで挙げたのは、Jade Doeが管理する「Creators vs YouTube」スプレッドシートに今年記録された60件の事例のほんの一部に過ぎない。
上記のようなルール運用に関わる事例に加え、チャンネルの見つけにくさや同接Bot(視聴Bot)の問題も、プラットフォームが今年も引き続き直面している主要な課題である。YouTubeとTwitchはいずれも対策を講じており、VTuberを含むすべての配信者がその変化に対応する必要がある。
● Streams ChartsとAudienclyによるホワイトペーパーでは、Twitch配信者の約10%が同接Botを利用し、視聴者数を水増ししていることが明らかになった。
● 同レポートはまた、同接Botが競合への攻撃手段、詐欺ツール、ビジネス成果を自分たちに有利に操作したり特定のスポンサーにアピールしたりするための手段として使われていることも指摘している。
● 一方で、両プラットフォームはコンテンツを見つけやすくするための新機能追加も続けている。
● YouTube Liveでは縦型配信と従来の横型配信を同時配信可能にしたほか、公開ライブ配信からメンバー限定ライブ配信への切り替え設定、配信前のリハーサル機能などが追加された。
● Twitchでは全ユーザーに収益化を開放し、クリップ作成方法も強化。新たにリードモデレーターの役割を設けるなど、モデレーションの仕組みを調整した。
YouTubeに話を戻すと、YouTubeでは再利用コンテンツや不正確なコンテンツを投稿するチャンネルへの取り締まりを継続している。
● Akuma Nihmuneは、クリエイター本人と誤認させる可能性のあるVTuber切り抜きチャンネルについて警鐘を鳴らしていた。これはAI生成コンテンツを使った偽映画予告編を投稿するチャンネルへの対策が取られる以前からのことだ。
● 2025年も切り抜きチャンネルの削除は続いており、たとえばflippinfilianは、推しであるFilian本人が認可していたにもかかわらず、新たなチャンネルを作らざるを得なかった。
Streams ChartsによるVTuber業界の最新レポートでは、Twitchには引き続き新規VTuberが参入している一方で、YouTubeでVTuberを視聴するユーザーの割合のほうが依然として高いことが示されている。
また別の話題として、TikTokを巡る一連の騒動も、米国事業を合弁会社として分社化することで決着を迎えた。VTuberたちが代わりの場所としてREDnoteを試していた時期を覚えているだろうか?
【注】
※1:Brave group USのidolおよびV4Miraiユニットに所属するタレントが収益化停止となり、これを受けて同社はYouTube宛てに公開書簡を発表した。
※2:Pipkin Pippaは、Twitchの不正対策プログラムを一から構築した人物についての見解を述べたが、その人物は今年Twitchが実施したレイオフ対象者の一人でもあった。
X(旧Twitter)のアルゴリズム変更後、VTuberにできることは何か?
VTubers, since your social score on Twitter/X was reset, the biggest thing you can be doing right now is taking advantage of this.
— Hanako Amaya 🌸🫧 (@Hanako_Amaya_) December 16, 2025
It’s time to revaluate how you use your account and make posts.
Before you make a post, imagine for a second, “if I was to @ grok to summarize this…
VTuberたちはX(旧Twitter)のアルゴリズム変更について研究を続けている。特にGrokがニュースフィードの表示内容を管理している今、その傾向は顕著だ。
バ美肉サキュバスのHanako Amaya、Virtulantes所属のFirozera(※3)、VTuberマネージャーのLorran the Kangarooらは、現在のプラットフォームで何が有効なのかを探る地道な作業を行っている。ここまでに分かってきたことは以下の通りだ。
● 「X(旧Twitter)を使う目的は宣伝ではなく、ブランドとしての存在感を示すことです」とHanakoは書いており、VTuberに対してプラットフォームへの向き合い方を見直すよう促している。「自分が学んだことで、他の人も知ったら楽しめると思うことを強調しましょう」。
● Firoは「Grokは、配信サイト名を出したり特定の言い換え表現を使わなくても、ライブ配信の話だと理解してくれます」と付け加え、時代遅れの自己宣伝投稿を削除することを勧めている。
● Lorranの調査では、「情報性のある投稿は、短文のマイクロブログ的な投稿よりもブーストされやすい」ことが示されている。そのため、280文字という通常の文字数制限に縛られないXプレミアム(※4)加入者にとっては、文脈を持たせた投稿を書く絶好のタイミングだという。
これらのVTuberたちは共通の認識にたどり着き、プラットフォームの大きな変化を乗り越えるためのガイドを共同で制作する準備を進めている。
この記事を仕上げる直前、筆者はFiroと短い会話を交わし、VTuberに理解してほしいことをまとめてもらった。
「私たちは、規模の大小を問わず、コミュニティ全体のVTuberが成功してほしいと願っています。今回のアルゴリズム変更は特に大きな影響を与え、多くのストレスや不安を生みました。
私たちが目指しているのは、VTuberがリーチを伸ばすより良い方法を見つけることだけでなく、SNSをより深く理解することで、より健全な関係を築くことです。
最初のステップとしては、Botフォロワーを削除すること(シャドウバンのリスクを下げるため、1日に15件以上は削除しないよう注意)。そして自己PRの投稿は本当に重要なプロジェクトや配信のために取っておくことをおすすめします」。
この記事の準備中、X(旧Twitter)は投稿内で他人の画像を編集できる機能を全ユーザーに開放した。Lorranは、リアル世界(IRL)の写真を投稿しないこと、さらにそうした写真を含む過去の投稿も削除するよう呼びかけている。
【注】
※3:Firoとそのチームは、今年のシドニー・マンガ&アニメ・ショーでVTuberのミート&グリートを開催し、40人以上のVTuberが参加するという大きな節目を迎えた。
※4:なんなら私は今でもこれを「Twitter Blue」と呼んでいる。
VTuber向けテックの新興プレイヤー
メインの収入源に不満を抱えているVTuberの方なら、おそらく今年現れた新技術をすでに活用し始めているかもしれない。我々が注目したテクノロジーをいくつか紹介しよう。
● VLOOPLAYは今年ローンチされた、Cameoのようなカスタマイズ可能なマンツーマン動画をVTuberが提供できるサービス。複数の事務所やインディーズVTuberが参加している。
● 2019年に開始された韓国のプラットフォームRPLAYは、「VTuberや声優によるNSFW(閲覧注意)およびSFW(健全)コンテンツのためのバーチャルコンテンツプラットフォーム」として成長を遂げている。
● RPLAYは、Fanslyのポリシー更新によって居場所を失ったVTuber、たとえばKumo Kuddelmuddelの次の拠点にもなっている。同サービスにはJastIDOLSやPROMISU ENといったグループも参加しているが、引き続き公共の場での視聴には注意が必要だ。
● OshiSnapは、VTuber Fan EventsとVToku Studiosの協業によるサービスで、推しVTuberがイベント会場でファンの要望に合わせて撮ったスナップ写真を提供できる。
● VTuberがイベント会場を直接歩き回れない場合、VTuber Research Clubが用意するようなロボットやカメラ付きタブレットを通じて参加することもある。実際に会える場所は、出展者や主催者が指定したブースであることが多い。
● Vupechat.comは、VTuber同士がランダムに出会える専用プラットフォームとして成長を続けている。VTubeStudioなど他のVTuber向けアプリへのサポート強化や新たな企画の発表とともに、新しいアンバサダーも登場している。
VTRCとVupechat.comがVTuberにTwitchConの一端を届ける
TwitchConでは、VupechatとVTuber Research Clubが協力。アプリのユーザーがイベント来場者に視認され、ユーザー自身がほんの一瞬でもイベントを体験できるようにした。
「いつかVupechatを、イベントで実際に訪れることのできる体験にしたいと、ずっとワクワクしていました」と語るのは、アプリの開発者Hydrosynthだ。
「フィラデルフィアで都市同士をつなぐPORTALの記事を読んだときに、『これをいろいろなイベントでVupechatのポータルとして実現できたらすごく面白い』と思ったんです。
Vupechatが…そうですね、車輪付きで、こうしたポータルのようにイベント会場を移動する姿も思い描いていました。ただ、立ち上げ初期でチームも非常に小さかったため、イベントに常設するための予算や人手がなく、その構想を本格的に追求することはありませんでした」。
この体験の準備は困難を極めた。イベント開催の週末を前に、両者は何度もテストを重ねた。
「最初の通話の後、音声と映像を双方向でやり取りできるようにするため、さらに2~3回の通話を行い、検証とトラブルシューティングを重ねました。Vupechatユーザーとロボットの前にいるリアル世界の参加者が、お互いの顔と声をはっきりと見聞きできる状態を目指したんです」とHydrosynthは語る。
VTRCとのパートナーシップは、発表と同時にVupechatのユーザーの間で大きな反響を呼んだ。
「反応がとても良かったので、VTRC側がロボット枠を2から3に増やしてくれました。より長時間実施でき、誰も取り残さずに済んだんです」。
当時VTRCの渉外責任者(※5)を務めていたKoizumi Kaitoは、VTuberをつなぐVupechatの大きな可能性を次のように語っている。
「メンバー一人ひとりが物語を持ち、新しい人とつながりたいという強い思いを持っていました。それは私たちのプラットフォームが物理的な世界で果たしている役割ともどこか似ています。それでVupechatとの連携を決めました。短い時間であっても、より多くつながれるという発想は本当に素晴らしいですね!」
Forgot to post this but I managed to virtually meet some people in TwitchCon 2025 via @vupechat and with the tech from VTuber Research Club! (even for a short time) pic.twitter.com/MIIjLfLLoK
— 🇵🇭 Excelynne – The Mirror Traveler 🪞 (@Excelynne) October 19, 2025
【注】
※5:この総括が公開された時点で、KaitoはすでにVTRCを離れている。

