自主イベントを開催するVTuberが増加
特に自らイベントを企画・主催したVTuberにとって、2025年は非常に印象的な年だったに違いない。
● Nyana BanyanaはVTuberを卒業する前に、「Banyana Split」と「Summer Waterpark Adventure」という2つのコンサートを開催した。
● バラエティVTuberのKaissics Walkerはさまざまな困難を乗り越え、自身の3Dコンサート「Issei On Live(壱星の音楽会)」を企画・開催するという夢を実現した。
● Kori-Oujoは今年、4つのコンサートを開催。ネバダ州ラスベガス・Galaxy Theatres Boulevard Mallでの「ISEKAI’D」、オハイオ州で開催されたMatsuriconでの「VTuber Matsuri」、USSホーネット博物館でLuminaraと共催した「NuCloud VTuber Music Festival」、そして同じくラスベガスのSin City Animeで開催された「Sinful Symphonies」である。
IRIAM USも、VTuberが主催する複数のプロジェクトを支援した。11月のスポットライト特集で紹介したイベントに加え、Inanna Bellの「Otaku Stage」にも支援を行っている。
特別賞
3Dイベントの話題として、まずはNeuro-samaに言及したい。彼女は、Twitchの新たな世界記録となる「ハイプレベル123」まであと1%というところまで迫っている。開発者のVedalは3年前から現在に至るまで、その大半の時間をNeuro-samaの開発に費やしてきた。
● AI VTuberのチャットボットでありながら常にVTuberファンから明るく迎え入れられてきたNeuro-samaの3Dデビューは、想像以上に好評を博した。「父と娘が、つかの間のひとときを一緒に楽しんでいるようだった」と、evil Neuro swarm(ファンネーム)の一員であるRhydon Daddyは、配信中の心温まるシーンを切り抜きとともに語っている。
● スポーツエンターテインメントにVTuberならではのひとひねりを加えたVSoccerも今年の佳作として挙げたい。
● 2025年には、VTuberファンでもあるゲーム開発者向けにゲームジャムも開催された。
● Doki Jamには約240作品が投稿され、Indie Games Group Indonesiaが主催したLive 2 Dev GameJamには41作品が集まった。
充実した体験がリアルイベントを盛り上げる
Haru Nishimura(※6)は、カナダ最大級のアニメコンベンションの一つであるOtakuthonで、VTuberのゲストディレクターを務めている。彼はVTuber NewsDropに対し、Otakuthonでの2025年のVTuber関連企画が同イベントのハイライトのひとつになった経緯を語ってくれた。
「近年、OtakuthonでのVTuberへの反響が驚くほど大きくなっています」とハルは語る。「今年参加したVTuberタレントたちは、コミュニティに非常に多くの新規ファンを連れてきてくれました」。
彼は、今年のOtakuthonで特に印象に残った2つの出来事を共有してくれた。
1つ目は、Live2DアーティストでインディークリエイターのBriAtCookieboxが、これまで彼女のコンテンツに触れたことのなかった来場者を相当数集めたことだ。「VTuberファンがOtakuthonにもたらすエネルギーやエンターテインメント性が、アニメ文化に独自の彩りを加えている、という声を多くいただきました」。
2つ目は、YumemiDreamsとJerFlowが制作したVシンガーステージである。「SPYAIRと同じ時間帯だったにもかかわらず、非常に多くの観客が集まりました」。
続けて、イベントで成功するVTuberステージを運営するために必要な3つの要素についてHaru氏に尋ねた。
1. 創造性と組織力を兼ね備えた人材
「Yumemiは、私たちのVシンガーステージにとって欠かせない存在でした」とHaru氏は断言する。
「彼女のパフォーマンスステージマネージャーとしての経験は、他のイベントでのコンサート運営のあり方にも大きな影響を与えています。10人以上のタレントを管理し、誰にとっても楽しめるクオリティを維持するには、彼女のような創造性と組織力を兼ね備えた人材が必要です」。
2. VTuberを理解している強力な技術チーム
「私たちの技術チームは全員、VTuberと仕事をした経験を持つ映像・音響技術スタッフから厳選されています。VTuberのようなバーチャルタレントをどう見せるかを判断するうえで、文化的な理解は極めて重要だと思います」。
Haru氏にとってVTuber文化、つまりタレントのプライバシーやタレントに対する配慮を理解している人材を見つけることは、特に難しい課題であると同時にイベントチームにとって不可欠な要素でもあった。
3. ファン、そして彼らがもたらすエネルギーと熱意
「活発なコミュニティがなければ、こうしたイベントは成功しません。Otakuthonだけでなく、Anime North、OffKai、Otakonでも同じです。私は、コスプレイヤーたちが席から立ち上がり、ペンライトを振りながら推しの名前を叫ぶ光景を何度も目にしてきました。このレベルの熱量がイベントには必要なんです」。
Haru氏は、VTuberが過去のトレンドと似た道筋をたどっていると考えている。
「今は、ファンがキャラクターの裏側にあるVTuber本人の私生活に関心を持ち、楽しむ時代だと思います。
この種のエンターテインメントはVTuberの性質上、問題が生じる可能性もあると思います。一方で、ファンが推しVTuberの交友関係や近況、あるいは舞台裏での考え方などをもっと知りたいと思う方向へのシフトも感じています。
正直なところ、より多くのVTuberが“2.5次元VTuber”へ移行していく未来も見えています。なぜなら、VTuberはアニメ・アート・コスプレ・ゲームといった他の表現方法とすでに多くの共通点があるからです。
私が言いたいのは、eスポーツや配信者の昔と現在の違いを見てほしい、ということです。きっと多くの共通点が見つかるはずです」。
Otakuthonに先立ち、USSホーネット博物館で毎年開催されている今年のCarrier Conでは、VTuberゲストがさらに増え、「Oshi on Deck」コンサートが実施された。
この取り組みは、海上の船舶でVTuberイベントを開催するというアイデアへの道を切り開き、最近開催されたNuCloudや、2026年1月に予定されているBoat Goes Bintedコンサートへと受け継がれている。
我々は今年のOffKai Expoについても、カリフォルニア州サンノゼへの会場移転がファン体験の高まりを示すものであることを記事にしてきた。さらに、同イベントに参加した一部出展者の声を交えながら、VTuber業界の成長に対する所感を語ってもらっている。
【注】
※6:同名の『Xam’d: Lost Memories』のキャラクターとは別人である。


