【VTuber業界総括2025】Part 3:VTuberシーンを前へと推し進めたもの

インディーズVTuber、ライブ活動と(血の通った)実体験、そして今なお自らの定義を模索し続けるVTuberシーン。

By Jay Agonoy (2025/12/28)

アイキャッチ:VTuber業界総括2025 Part 3
Note

本記事は海外のVTuber専門Webメディア「VTuber NewsDrop」の記事を翻訳したものです(許諾済み)。


2025年はVTuber、ファン、そして業界全体にとってまたしても激動の年だった。まだ2025年総括のPart1とPart2を読んでいないのであれば、まずはそちらを読んでからここに戻ってきてほしい。


「つながり・創造性・協働」を重視するVTuberエコシステムの構想を私が提唱してから1年が経過した。

しかし、世界のVTuberシーンはいまだ内外に課題を抱えており、業界全体として正当に評価されにくい状況が続いている。

今年は大規模なVTuberアワードが開催されなかったこともあり、QTCinderella主催の「The Streamer Awards」に多くの注目が集まった。

そして多くのVTuberやファンにとって馴染みの薄い存在であるTheBurntPeanutが「ベストVTuber」を受賞したことで、「そもそも何をもってVTuberと呼ぶのか?」という、昔からある問いが再び浮き彫りになった。

VTuberやファンの間で意見が分かれる議論はそれだけではない。そんな中でも私たちの“推し”は、逆風に立ち向かいながら活動を続けてくれている。

2025年総括の最終章となる本稿では、VTuberを前進させたもの、あるいは牽引してきた人々に焦点を当てていく。

追悼の意を込めて…

本題に入る前に、今年亡くなったVTuberたちを偲びたい。Aliceixia、VTondoのYuki Inuspin(筆者の親友でもあった)、FlanDanchou(2024年の「Hidden Gems Small VTuber Awards」トレンドセッター賞受賞者)、そしてAmari Maris。

彼ら・彼女ら、そしてこの世を去った他のVTuberたちに哀悼の意を表します。

企業の枠を超えたインディーズVTuber(個人勢)たち

やや大雑把な言い方になるが、2025年、世界のVTuberシーンを席巻したのは企業の枠に属さないクリエイターたちだった。

VShojoの崩壊や、ホロライブプロダクションを取り巻く問題が今年大きく取り上げられたことで、企業系VTuberが大きな後退を余儀なくされたのは疑いようがない(※1)。

こうした問題は、ほぼすべての事務所にストレス、プレッシャー、そして厳しい監視の目を向けさせる。誰かの卒業発表があるたびに胸が痛むが、推しの所属する会社が大きな騒動に巻き込まれなかったのならば、それは幸運なことだと言える。

では、運営がダメになって自分だけでやるしかなくなったVTuberたちはどうなったのか。彼ら・彼女らは自身のペルソナとファンを引き連れ、今も活躍を続けている。

その一例が、VShojoからのデビューが予定されていた2つのユニット、The BeastiezDensetsu.EXEだ。

● The Beastiez(PiaPi UFO、Tori Oriane、BeriBug、Kairyu Crocodile)はモンスターをモチーフにしたグループで、苦しい時期を互いに支え合いながら乗り越えてきた。Pia、Tori、Beriはその後Future Legends VTにも加入している。なお、Kairyuのデビュー配信は本稿執筆時点で130万回再生を記録している。

● Densetsu.EXE(Victoria Roman、Phoebe Chan、Mint Fantome)は妖怪・妖精・幽霊のトリオで、筋金入りのアイドルとして夢を諦めることなく突き進み続けた。現在はSetsuna Productionがこのユニットをマネジメントしている。

一部の事務所所属VTuberは卒業後も自身のペルソナ(知的財産、IP)を保持することができたが、そのためには代償が必要な場合もある。

● Raki Kazukiは今年3月にPixelLinkが活動終了する前、ドノソン※4)を通じて資金を集め、事務所から自身のIPを買い取った。

 ● 一方、Daiya FortunaはZentreyaの寛大な支援によってIPを確保することができた。

 ● Kanna Yanagiは早い段階でIPを買い取る余裕があったため、PixelLinkを離脱すると同時にインディーズVTuberとして再デビューすることができた(※2)。

 ● Chio Chompiは数か月を経て最終的に自身のペルソナを取り戻し、この年末に再び姿を現した

● Scarlett Flameheart(元VReverie)は今年8月に自身のペルソナとSNSアカウントを確保し、当時のペルソナであるBossymoonと融合。その後、Vylett Moonheartとして9月1日にデビューしている。

一方で、費用負担なしに姿や名前を継続使用できた元企業系VTuberたちもいる(※1、ただし条件付きの場合も)。

● AniLiveが昨年2月に閉鎖され、NEXASがマーケティング事業へと転換した後、NEXAS所属のVTuberの多くはインディーズVTuberへと移行した。

今年9月にSpecialite ENの事務所閉鎖にともない、残っていたタレントたちは契約解除となり、インディーズVTuberとなった。

● OshiLinkのCELANISユニットが今年3月に無期限活動休止となった際も同様のことが起きている。

逆境から見事に立ち直ったユニットがあるとすれば、それはC4TALYSTだろう。

● Moka Roki、Manon Merope、Yukiko Yasashi、Sofiya Novelle ― NEXASを離れたばかりの彼女たちは、新たにバーチャルアイドルグループを結成。来年夏にはコンサートの開催も計画している。

イベントで自身のブースを出展しているインディーズVTuberには、Matara Kan、GEEGA、Ironmouseなどがいる。

● IronmouseはTwitchCon San Diegoの週末に自身のコンサートを開催しただけでなく、友人たちを招いたVTuberミート&グリートも実施した。

● Mataraも同じTwitchConにブースを出展。一方、GEEGAはフロリダで開催されたHoliday Matsuri内のVTuber Expressにブースを構えた。

2025年、最も注目を集めたインディーズVTuberを一人挙げるとすれば、Sameko Sabaをおいて他にいないだろう。6月のデビュー配信では同時視聴者数が約20万人に達した(※3)。


【注】
※1:詳細についてはPart 1を参照のこと。

※2:Kannaはその後も自身のペルソナを維持したまま、年の半ばにGlitch Starsへ加入することになる。

※3:VSTATSの統計データによる。

【訳者注】
※4: Donation(寄付)とMarathon(マラソン)を組み合わせた造語。主に配信者(VTuber含む)が一定期間継続的に寄付を呼びかけるイベント配信のこと。

広がる支援の輪、絶え間なきチャリティの精神

VTuberが特に得意としていることが一つあるとすれば、それはさまざまな目的のために長時間のチャリティ配信を行うことだ。インディーズVTuberでは特にその動きが活発で、今回把握できたものだけでも以下のとおりである。

● IronmouseはVShojo脱退と同事務所の崩壊を受け、支援者からの信任を受ける形でImmune Deficiency Foundationのために138万ドル弱を集めた。

● Nimi Nightmareによる「Baby Bean’s Charity Bash」では、セント・ジュード小児研究病院(St. Jude Children’s Research Hospital)のために36万ドル超を集めた。

● VTubers Against ICEは、移民摘発の影響を受けた人々を支援するために約2万6000ドルを募った。

● Utano Pandoraの視聴者は、英国のチャリティ団体Great Ormond Street Hospital Charity(GOSH)のために約2500ポンドを寄付した。

● Miya Mareenaが引退前に行っていた子宮内膜症研究への啓発活動は、多くのVTuberやファンから支持と評価を得た。

● Nana Asteriaはあるファンへの追悼の思いを込め、アメリカ自殺予防財団(American Foundation for Suicide Prevention)に5500ドルを寄付した。

ShioriP0nは、フィリピンの慈善財団World Surgical Foundation Philippinesに1万ドル超を寄付し、同団体が支援する残りすべての患者の手術費用を賄った。

● ASHA_EXEによる「HOPE.EXE Charity Acoustic Concert 」は、フィリピンの台風被災支援を行うFor the Future Philippinesのために10万フィリピンペソ(約1700ドル)を集めた。

2025年の3Dデビューとお披露目

インディーズVTuberの話からちょっと視野を広げると、今年は例年以上に3Dデビューや新衣装披露が多かったことに気づいただろうか?

ホロライブEN -Justice-ホロスターズEN -ARMIS-、NIJISANJI EN(アイア アマレドッピオ ドロップサイトヴェール ヴァーミリオン)、FIRST STAGE PRODUCTION EN(Ravanis)のタレントたちは、3Dでのパフォーマンスを通じて私たちを楽しませてくれた。

Nana Asteriaも今年10月に3Dで登場。自身にとって大きな節目を迎えた。

Fuzuki Mikiは配信復帰にあたり、新たな2Dモデルと3Dモデルを披露した。

Rainhoeは3Dデビューの一環として『Just Dance』をプレイし、自身のモデルを存分に活用した。

● Vir2alVerseのKijori Konnoはデビューから5か月後となる今月、初の3D配信を行った。

これからの歩み

2025年を締めくくるにあたり、VTuber業界では圧倒的な数のストーリーが展開された(あまりにも多すぎて、今年起きた他の重要な出来事に言及しきれないほどだ)。我々はいくつかのVTuber事務所の閉鎖、燃え尽き症候群、そして数々の論争も記録してきた。

しかし、ここで記録として明確にしておきたい。ファンはチャリティのために100万ドル以上を寄付し、インディーズVTuberのグループは成長を続け、新しい技術が生まれ、コミュニティは自身の“推し”やファン同士のために存在し続けているということを。

この一年、VTuberシーンを支え続けたのは人々だった。

どんな困難に直面しても、辞めることを拒んだVTuberたち。

新しいもの、価値あるもの、刺激的なものを提示し続けたVTuberたち。

ただ視聴するだけにとどまらず、推しを応援しつづけたファンたち。

アイドルを励まし、インスピレーションを与え続け、最高の人生を送る理由を与えるだけの経済的・情緒的な力があることを証明したコミュニティ。

2026年が、すべての人にとって少しでも穏やかな一年となりますように。それでは、また来年の展望でお会いしましょう。VTuber NewsDrop一同より、皆さんにとって素晴らしい新年となることをお祈りします。



※記事中で使用している画像は訳者が独自に用意したもので、元記事とは異なる場合があります。当翻訳記事のサムネイル画像および記事中画像はSameko Saba、hololive English、およびNana AsteriaのYouTube配信スクリーンショットから作成しました。