XRメモランダム フィリピンの医療従事者兼VTuber、手術費用を払えない患者を支援するための募金を実施中。
By Jay Agonoy （2025/12/6）
本記事は海外のVTuber専門Webメディア「VTuber NewsDrop」の記事を、許諾を得て翻訳・転載したものです（記事中で使用している画像は訳者が独自に用意したもの。元記事とは異なる場合があります）。
フィリピンを拠点に活動するVTuberのなかでも、ShioriPon（シオリっぽん）はもっとも気さくな配信者の一人と言われる存在だ。彼女はVTuberとして2つの点でよく知られている。『TEKKEN 8』のプレイと、医療知識の共有だ。
一部の視聴者から「ドクター・シオリ」と呼ばれる彼女は、医師免許を持つ外科医としての仕事と配信者としての情熱、その両立に成功している。
“異世界から来たならず者外科医”である一方、視聴者からの寄付の一部を、手術に必要な物品を買えない患者のために充てる活動も続けている。
彼女はまた、植物系VTuberであり公認心理士のHello, Miraiとともに、今年のONLive ConventionのトークセッションにVTuber NewsDropが招いた登壇者の一人でもある。
この善良なドクターは、地元VTuber界隈でひっそりと、しかし確実に愛されている存在だ。だからこそ、彼女が大規模なチャリティー募金イベントを開催する意義は大きい。
チャリティーの目標額は1万ドル
チャリティーの目標額は1万ドル（約155万円）。目的は非営利団体Watsiを通じて、フィリピンの患者に外科治療を直接提供することだ。
「最初に連絡したのは私のほうからです」とShioriは語る。
「12月に誕生日ドノソン（※）をやろうと思っていたのですが、せっかくだからチャリティーにしたいと思ったんです。どの慈善団体にするか考えていたとき、フィリピン国内で定期的に外科手術を行っている地元財団のWorld Surgical Foundation Philippines（WSFP）のことを思い出して。
調べてみると、WSFPはWatsiと提携していて、WatsiのサイトにはWSFP管理の手術待ち患者リストが公開されていました。私が普段していることとそっくりだったので、Watsiに連絡したんです」。
【※訳者注】 ※ドノソン（donothon）： Donation（寄付）とMarathon（マラソン）を組み合わせた造語。主に配信者（VTuber含む）が一定期間継続的に寄付を呼びかけるイベント配信のこと。
過去最大の挑戦となるドノソン
今回のドノソンがどれほど大きな取り組みなのか、彼女に尋ねた。
「これまでにやってきたサブアソン（※）やドノソンは、助けが必要な特定の患者さんのためだったり、自分の誕生日のためだったりでした。去年は乳がん啓発月間のドノソンもしました。
でも今回はこれまでで最大規模なんです。目標金額は1万ドル、ストレッチゴールは1万5千ドル（約233万円）。これまでのドノソンは最大で2000ドルくらいだったので、桁が違います。
WSFPのドノソンでは、今年の12月までにWatsiのリストに残っているすべてのフィリピン人患者の手術費をまかなうことを目的にしています。とても野心的ですが、どうしても助けたいんです。手術費や医療費は、フィリピンの大半の人にとって非常に高いものなので」。
【※訳者注】 サブアソン（subathon）： Subscribe（登録）とMarathon（マラソン）を組み合わせた造語。Twitchなどでの配信で、投げ銭やチャンネル登録をされるたびに配信時間を延ばし、最終的にどれだけの時間配信できるかにチャレンジする。
- グローバルコンサルティング企業WTWの「2025年医療動向調査」では、フィリピンの医療費は3年連続の二桁上昇、18.3％増と予測
- 民間病院協会の代表も、インフレと為替変動により病院料金が10～15％上昇していると公言
- 国が掲げる国民皆保険の取り組みにも関わらず、こうした懸念は依然として根強く残る
- 農村人口が半数を超えるため、農村外科モデルの必要性を示す調査結果（2022年11月）も発表されている
現時点で募金額は8000ドルを突破
本記事執筆時点で募金額は8000ドルに達し、その結果、彼女は『リーグ・オブ・レジェンド』をプレイすることになった。
残る達成ゴールは、「心拍計をつけてホラーゲームをプレイする」「『TEKKEN8』でシャオユウ（キャラ名）を最上位ランクの『鉄拳王』まで上げる」「新衣装のお披露目」の3つだ。
「どのドノソンでも一番大変なのは全体の企画ですね。どんな達成ゴールを置くか、期間はどのくらいにするかとか。
今回はこれまでで最大規模なので、特に難しかったです。全プラットフォームで宣伝やマーケティングをしなくてはいけなかったので。投稿してもアルゴリズムが押し上げてくれないときもあって、ほとんど見られないこともありました」。
幸い、この呼びかけが一部の人々の目に留まり、キャンペーンは大きく前進した。
「一番驚いたのは、いきなり3000ドル寄付してくれた人がいたことですね。常連さんでもなく、Redditでドノソンの話を聞いて来てくれたそうなんです。本当に嬉しかった。少なくとも、私のドノソンが広がっているという証拠ですから！」
目標達成の自信は？
ドノソンは12月16日に終了するが、目標をすべて達成して終えられる自信があるか尋ねた。
「このペースなら到達できると思います！ でも、たとえ達成できなくても、私は今回のドノソンはよくやったと言える仕事だと思います。私はまだ小さなVTuberで、アイアンマウスみたいな大物ではありません。それでもたくさんの患者さんを助けることができましたから！」
※当翻訳記事のサムネイル画像および記事中画像はShioriPonのXヘッダー画像、およびTwitchの配信スクリーンショットから作成しました。
