オピニオン: ホロライブは終わっていない。悲観的な投稿はやめるべきだ 【翻訳転載】

Note

 本記事は海外のVTuber専門Webメディア「VTuber NewsDrop」の記事を、許諾を得て翻訳・転載したものです(記事中で使用している画像は訳者が独自に用意したもの。元記事とは異なる場合があります)。


オピニオン: ホロライブは終わっていない。悲観的な投稿はやめるべきだ

最近のニュースに対する我々の考えと、乗り越えるためのヒント(ホロメンからのアドバイスも紹介)。

By Jay Agonoy (2025/4/17)

(画像: 「A-chan working overtime」(Kanauru, July 2023)より)

 がうる・ぐら(Gawr Gura)の配信告知が投稿された瞬間から、X(旧Twitter)は一気に反応であふれかえった(フィリピンのマニラでは水曜日の午前4時ちょっと前に関連タグが出現した)。

 VTuberたちもファンたちも、ぐらのデビュー配信を見たあの時を思い出す。とりわけ、忘れがたい「あ」の瞬間を。そして、それがもう避けようのない未来だと感じ、不安を口にせずにはいられない人たちもいる。

避けられない事態

 時刻は午前10時30分になった。蒸し暑く不快な天気に耐えきれず、私は涼しい場所へ避難し、スマホでYouTubeを開いた。耳を澄ませて聞く。

 ぐらはあらかじめ用意していたメモを読みながら、「マネジメントおよび会社の方向性に関する意見の違い」により、日本時間5月1日をもってホロライブを卒業することを発表した。

 そう、VTuber業界のアイドル的存在であり、多くの、本当に多くのVTuberたちが活動を始めるきっかけとなった彼女が、自らをスターに押し上げたその事務所を去る決断をしたのだ。

 ぐらに加え、七詩ムメイ紫咲シオンも時を同じくして卒業を発表しており、それぞれファンにその理由を明かしている。

 しかし正直なところ、「会社との方向性の違い」が具体的に何を指すのか我々にはわからないし、非公開情報の多いVTuber業界において、憶測は何の役にも立たない。

 ぐらがホロライブ卒業を発表した翌日、私たちは多くの人の反応を目にした。ホロライブは経営判断のせいで終わるという、“自分がそうあってほしいシナリオ”に固執する人たちが現れることは最初から予想していた。

VTuberの商業化

 当サイトの1コーナー、MusicDropの編集者であるTeddyは以前、こう話していた。

 「VTuberは今、商業化の段階に入っていて、VTuber業界の外にいる人たちも、ファンとの関わりやリーチの可能性に注目している。だから、タレントが新たな方法でファンとつながれるようなプラットフォームの実験が行われているんだ」と。

 つまり、今人気のVTuberたちは、もはや単なる配信者ではない。CMに出演し、トレーディングカードになり、テレビに出て、さまざまなメディアで活躍している。かつて夢だったことが今では現実になり、ビジネスエコシステムの一部になっているのだ。

 VTuberたちが自分自身のために作り上げ、観客(ファンはもちろん、そうではない人たちも含む)に向けて表現してきたキャラクターは、メーカーやブランドによってライセンスされる可能性をすでに持っている。

 自分で作り上げたキャラクターのグッズを自分で作ることもできるし、グッドスマイルカンパニーやYouTooz、Novel Horizons、Uwu Market、あるいは我々の技術パートナーであるKawaのような企業に制作依頼することもできる。その可能性はまさに無限大だ。

 ぐらの卒業の予兆はすでにあった。たとえば、2年前に起用された東京観光大使からいつの間にか彼女の名前が消えていたのもそうだ。

 加えて、ぐらは他のholoMythメンバーに比べて配信が極端に少なかった。それでもChumbuds(ぐらのファンネーム)は辛抱強く、そして熱心に次の配信を待ち続けていた。

ファンが“大掃除”を手伝う

 まだ若いこの業界が抱える他の問題と同じく、私たちは「VTuberの引退・卒業」という決して無視できない恒例行事を目の当たりにし、その度に「この業界はいずれ沈むのではないか」という懐疑的な気持ちにさせられる。

 運営への敬意を表し、彼らがきちんとした回答を出すまで時間を与えるべきだと思う。だが、それまでの間、ゴシップ好きな人たちが自分たちの都合の良いように憶測を広めることは止められないだろう(しかもそのほとんどは偏った内容だ)。

 一部の切り抜き師や熱心なファンたちは、ぐらの同僚(holoMythのメンバー)や他のホロライブメンバーの言葉を拡散している。

元記事ではここに動画があります(5本)。動画詳細は元記事で確認してください。

 なかでも、森カリオペの言葉はもっとも的確だろう。

 「場をかき乱そうとする人たちには注意して。推しが卒業して悲しんだり怒ったりしている人たちと、ホロライブファンを装ってわざと騒ぎを起こそうとする人たちとは全く違う。

 そういう人たちはすぐにわかる。いつも同じような言い回しで、同じようなことを言うから。見つけるのは簡単だよ」。

 過去にも星街すいせいが「伝言ゲーム」を例に、誤情報がどうやって広がるかを丁寧に説明したこともある(下記の動画はぜひ順番に見て、文脈を理解してほしい)。

元記事ではここに動画があります(2本)。動画詳細は元記事で確認してください。

 「大掃除」という言葉はふだんあまり使わないが、今回のケースにはぴったりの表現だろう。

ホロライブに対する安心感

 確かに、ホロライブは今年前半だけでも多くの大きな課題と困難に直面している。タレントの卒業が続き、メタバース「ホロアース」はまだ開発中、さらに関税の影響でファンの新規開拓も難しくなっている。

 ただ、他の企業はもっと大変な状況でもニュースになり続けている。

運営の不手際で特に英語圏のファンから非難されているライバル企業も、いまだに熱心なファンの支えで活動を続けており、新たな体験を届ける努力をしている(別に彼らの話をしたいわけではないが、ホロライブとは友好的コラボ関係もある)

● いわゆる“ブラック企業”として告発され追放された別のあの事務所も、いまだ存在している(まさか自社でオンラインくじのサービスを運営しているとは)

 ホロライブは今後も存続するだろう。この脱退劇も長い道のりの一部だ。VTuberとして人々を楽しませることは、簡単な仕事ではないのだから。ぐらの卒業が、今も事務所に所属している素晴らしいタレントたちを無視する理由になってはならないと、心の底から願っている。

 ジジ・ムリン、ハコス・ベールズ、アイリス、オーロ・クロニー、ラオーラ・パンテーラ、エリザベス・ローズ・ブラッドフレイム、アキ・ローゼンタール、赤井はあと……。まだご覧になったことのない方も多いだろう。

 もしまだなら、チェックしてほしい。信頼できるファンが時間をかけて共有してきた切り抜き動画を見てみよう。

 私が今でも覚えているのは、カバーCEO・谷郷元昭(YAGOO)氏がThe Japan Timesのインタビューで語った内容だ。インタビュー記事の言葉を借りるなら「アニメベースのエンタメを世界に広げるには、1社に頼るべきではない。複数の大企業、そして日本の産業全体が連携して支え合うべきだ」と。

 YAGOO自身、ホロライブだけで業界を築けるとは思っていないはずだ。世界トップのVTuber事務所という立場を自覚しつつ、ホロライブはこれからも多くの支援を受けることができるだろう。ホロライブの名前は、もはや「VTuber事務所」という言葉と同義になりつつあるのだ。

 私たちはすでに、桐生ココの卒業も乗り越えてきた(ホロライブではないが、その前には「VTuber四天王」の2人、輝夜月やミライアカリの引退もあった)。だからこそ、推しの卒業がどれだけ辛いものか、よく分かっているつもりだ。

 白上フブキは今もファンとともににいて、彼女の言葉を信じて支えていこうと思える。ぐらの今後の歩みは、ホロライブを離れても追い続けるだろう。VTuberという存在はこれからも続いていく。だからこそ、我々はそんなに心配してはいない。


※この翻訳記事のサムネイル画像は「A-chan working overtime」の動画サムネイルから作成しました。