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イベントレポート: Ado WORLD TOUR 2025 “Hibana” マニラ公演 【翻訳転載】

Note

 本記事は海外のVTuber専門Webメディア「VTuber NewsDrop」の記事を、許諾を得て翻訳・転載したものです(記事中で使用している画像は訳者が独自に用意したもの。元記事とは異なる場合があります)。


イベントレポート: Ado WORLD TOUR 2025 “Hibana” マニラ公演

「Adoの歌声が響き渡る2時間のあいだ、私は自分の席を離れることができませんでした。自分で言うのもなんですが、会場でも最高クラスの席です。セットリストは文句なし、一瞬たりとも無駄のない構成でした」。

By Jay Agonoy (2025/5/9)

 マニラに集ったAdoのファンが、彼女のステージを初めて目にしてから1日が経ちました。少しだけ気を落ち着かせて、今回の体験をNewsDropの読者の皆さんと共有しようと思います。

 当初は、AdoのコンサートについてこのVTuber NewsDrop以外のメディアで何か書こうと考えていました。というのも、AdoはVTuberではなく、ボーカロイド(ボカロ)文化に影響を受けたシンガーソングライターでありクリエイターだからです。

 ですが、私はVTuber文化はボカロ文化に敬意を払うべきだと思っています。今年フィリピンで行われた、ボカロに影響を受けたイベントはこれだけではありませんでした。

 それに、あの忘れがたいライブの夜に、何人かのVTuberにも出会いました。このレポートは、歴史に名を残したそのVTuberたちに捧げたいと思います。

Adoが引き寄せたコミュニティ

元記事ではここから現地画像が多数あります。画像詳細は元記事で確認できます。

 ライブ参加者の中には、Ado本人や映画『ONE PIECE FILM RED』のウタに扮した人もいれば、Adoのコラボ楽曲「桜日和とタイムマシン」繋がりで初音ミクの姿も見かけました。中には、Adoとサンリオのコラボで生まれたアドローザトルマリィ風の格好をしている人もいました。

 あのライブの夜にモール・オブ・アジア・アリーナにいた観客の中には、レッドカーペットを歩いてもおかしくないほどおしゃれに着飾った人たちが大勢いたのです!

 ライブの前後には、会場の内外に設けられたグッズ売り場に長蛇の列ができ、ファン同士でステッカーやバナーなどのグッズを交換する姿も見られました。それに加えて、VIPたちはファンが設置したフラワースタンドの横でグッズを受け取っていました!

 私たちが会場入りしたのは開演30分ほど前。そこでは、Adoからのメッセージが多言語でスクリーンに流れており、「コンサート中の録音・録画禁止」という重要な注意が繰り返し表示されていました。

 一般入場エリアは(私の目で見た限り)満席。観客たちは二度のウェーブと、「アドボ(Adobo)!」(※)というコールを繰り返したのち、映像とレーザーに彩られた圧倒的なステージ、そして力強い歌声を目の当たりにしました。

アドボ(Adobo)はフィリピンの定番料理で、その名前がAdoと似ていることから観客のコールに使われた。

ヒット曲の連続、連続、連続

 Adoは森田龍之助(ドラム)、兼子拓真(ベース)、岡田基(キーボード)、高慶 “CO-K” 卓史(ギター)という4人編成のバンドメンバーとともにステージに登場。

 かつての“歌い手”から今やヒットメイカーとして活躍する彼女は、アンコールでのSiaの「Chandelier」のカバーも含め、計21曲を披露しました。

 ファン注目のセットリストには、『ONE PIECE FILM RED』から「新時代」「逆光」「私は最強」、キタニタツヤのプロデュース曲「シャルル」、『SPY×FAMILY』の「クラクラ」、それに「MIRROR」「」、Kikuoの「愛して愛して愛して」のカバー、TVアニメ『BEYBLADE X(ベイブレードエックス)』の「Stay Gold」、「レディメイド」や「ロックスター」(丸紅とのコラボで知りました)などが並びました。

Adoボックス

 友人とは「Adoボックス」についても話しました。これは半透明のLEDの壁に囲まれた立方体のセットで、主催者が判断した場合、特に会場のルールが守られなかった場合、このAdoボックスは閉鎖されることがあります。

 フィリピンのアニメファンはアーティストの出演が今後なくなる可能性があることを理解しているので、ルール遵守を徹底しています。

 私たちにとって、Adoボックスが最後までそこにあったことは本当に幸運です。LEDの大きな背景ごしに、髪をポニーテールにまとめ、観客に負けず劣らずファッショナブルな姿で歌うAdoを見ることができました。

 Adoの歌声が響き渡る2時間のあいだ、私は自分の席を離れることができませんでした(自分で言うのもなんですが、会場でも最高クラスの席です)。セットリストは文句なし、一瞬たりとも無駄のない構成でした。

「みんなの幸せが私にとっての幸せです!」

 公演が終わりに近づく頃、彼女は自身2回目となるワールドツアーのコンセプトについて語ってくれました。自身のキャリアを振り返りながら、VTuberであろうとなかろうと、すべての観客に届くようなメッセージを繰り返しました。

「孤独は恥ずべきことではありません」。独りでいても大丈夫だし、夢を見ることだって大丈夫だと。

 私は今年初めに掲載された記事のことを思い出しました。Adoが所属する事務所の社長が昨年の彼女の成長についてコメントする内容で、そのときは少しネガティブに受け止めてしまっていたのです。

 その社長は、AdoがJ-POPやボカロ曲を世界に紹介していくことに大きな期待を寄せていました。それは2024年6月に改訂された「クールジャパン」の新戦略にも関わるもので、日本の音楽を世界に届けようという動きにも沿うものです。

 ですが、今回のツアーでAdoが伝えたかったこと、 「これからも日本の音楽を愛してほしい」という思いを理解したとき、そんなネガティブな感情は消え去りました。


 会場を後にした誰もが、満面の笑みを浮かべていました。

 正直、私はもっとAdoを見たいです。セットリストに入っていた曲を聴き返したり、動画を見たりしている。彼女を好きになったきっかけとなった動画 ― 2年前の自身のライブ映像を見てはしゃぐAdoのリアクション ― を愛着を持って思い出してもいる。

 彼女がいつかまたマニラでパフォーマンスしてくれる日を、心から楽しみにしています。


※この翻訳記事のサムネイル画像は「Ado – WORLD TOUR 2025 “Hibana”」ティザー動画のサムネイル画像から作成しました。