声優 × VTuberの二刀流、ジョナ・スコットの現在地【海外記事】

声優、そしてVTuberのアルフォンス・マッケンジー(通称「アルファの兄貴」)というふたつの顔を、彼がどのように楽しんでいるのかに迫る。

By Jay Agonoy (2026/4/24)

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Note

 本記事は海外のVTuber専門Webメディア「VTuber NewsDrop」の記事を、許諾を得て翻訳・転載したものです(記事中で使用している画像は訳者が独自に用意したもの。元記事とは異なる場合があります)。

 声優のジョナ・スコット(Jonah Scott)が一躍注目を集めたきっかけは、Netflixのヒット作『BEASTARS』(板垣巴留の漫画原作。ファイナルシーズンPart 2が現在配信中)の英語吹替版、主人公・レゴシ役だった。この役により、ジョナは第5回Crunchyrollアニメアワードの最優秀声優賞にノミネートされている。

 この出世作のほかにも、『Dying Light』のTV版およびゲーム版でエイデン・コールドウェル役、『ブルーロック』のオリヴァ・愛空役、そして大ヒット作映画『劇場版「鬼滅の刃」無限城編』の黒死牟役などを演じている。

 さらに『Date Everything』ではエディとヴォルトを演じているほか、NIJISANJI EN所属・Vox Akumaの作品『The Demon Hungers』を覚えているなら、そこでは父親役も務めている。

 20年にわたる声優キャリアに加え、彼はアルフォンス・マッケンジー(Alphonse MacKenzie)、通称「アルファの兄貴(Alpha Aniki)」としてVTuber活動も行っている。アルファは「あなたにはいなかった最高の兄貴」であり、2124年に生きる拡張人間(augmetic living)、“カタツムリの父”、Spotifyで自身名義の楽曲を持つロックスターでもある。Twitchのフォロワー数は現在9万8000人を超えている。

VTuber NewsDropは、声優とVTuberの両方の世界にまたがる彼の立場について、ジョナに話を聞く機会を得た。

VTuber活動は「渦巻く創造性の強力なはけ口」

 ジョナにとって、配信は多くの点でラジオ番組やリスナー参加型コーナーの司会のようなものだが、大きな違いは即時に反応が返ってくることだという。

「アドリブでのやり取り、話の道筋を示すこと、そして心からの交流が重要です。こうした要素が熱量の高い視聴者を育て、自分の活動のすべてに参加したいと思ってくれるような本物のコミュニティを築く鍵になります」。

 では、VTuber活動を通じて得たスキルは声優業に活きているのだろうか。「多くの点で、むしろ逆ですね」と彼は言う。

「観客の空気を読むこと、演技を調整すること、笑いを取りにいくこと、反応を引き出すことなど、観客との関わり方については演劇から多くを学びました。ですが、配信の感覚を身につけたのはラジオです」。

 VTuber活動によって新たなチャンスは広がったのか、という問いには「声優業では発散しきれなかった、自分の中で渦巻く創造性のためのとても良いはけ口を得られました」と答える。

「声優としてのコンテンツ制作は権利的に少し扱いが難しいことがあります。黒死牟やカタクリ(『ONE PIECE』の登場キャラ)は自分のものではないので、自分が好きにできるオリジナルキャラを持てるのは本当にありがたいことです」。

 このような考え方は、VTuberへと活動を広げた多くの声優に共通するものだ。

「アルファがバンド “Midnight Howl” と歌う全10曲のオリジナルアルバムもリリースしています。これは完全に自分たちの作品で、カバー曲もなければ法的にグレーな部分もありません。自分たちが作った、今すぐ聴ける音楽があるんです。アルファが歌う本物のメタルですよ。最高じゃないですか?」

 ジョナは先日、WeebCon 2026のOshi LoungeにVTuberのアルファとして招待されている。声優としてイベントにゲスト出演するのと、VTuberとして出演するのとで何が違うのか、彼自身まだ模索中だと言うが…。

「声優でありVTuberでもあるということは、ファンが『VTuberであること』を前提に会いに来てくれるということであり、それがコミュニケーションをより身近なものにしてくれるんです。

 多くのVTuberは匿名性を大切にしていますが、それには相応の理由があります。一方で、私たちの中には表舞台に立つ者も少なくありません。

 例えば、イベント会場の自分のバナーにもアルファの姿を出しています。これは多くの面で利点になりますが、同時に自分自身や周囲のVTuberの安全に配慮することも欠かせません」。

VTuber活動とコンテンツ制作に対する考え

 近年、声優のVTuber参入が増えていることについてジョナは「間違いなく今後も続く」としつつ、「ただ声優に限らず、多くのVTuberが乗り越えるべきハードルがあると思います」と指摘する。

「コンテンツクリエイターとして活動するのは簡単ではなく、誰も一人でやっているわけではありません。編集者やマネージャーなど、VTuber側にも報酬を支払うチームがあり、ビジネスとして運営されています。

 一見多くのことをこなしているVTuberの多くは、実際には十数人以上のチームに支えられていることがほとんどでしょう。これは広大で可能性に満ちた分野における、一種の家内工業的な産業です」。

 活動を通じて起業家的な視点を持つようになったVTuberをこれまで何人も見てきたが、ジョナもその一人だ。VTuberとして自身のキャラクターをフルタイムの仕事にしたい人へのアドバイスとして、彼はこう語る。

「声優とVTuberの両方をフルタイムでやるなら、ビジネス運営や契約法、税金といった地味な部分も学ぶ覚悟が必要です。それが難しいなら、それを任せられる人を雇う準備をしてください」。

声優を目指すVTuberへ

 多くのVTuberはデビュー時から目標リストを持っており、その中には声優になることも含まれている(実際にそれを達成した人も多い)。

 声優業界は人間関係の構築が重要だという前提のもと、VTuber界が声優界から学ぶべきことをジョナに尋ねた。

「誠実であることは、他人を切り捨てて上に行くよりもずっと遠くまで進めます。誰かに手を差し伸べ、見返りではなく友情を築いてください。そうした人たちとは一生の付き合いになるかもしれません。思いやりは大きな力になります」。

 声優として20年の活動歴があるジョナに、VTuber活動を始めてからキャリアのゴールが変わったか尋ねてみた。

「アルファの世界や周囲の人々を描くグラフィックノベルや音楽など、自分の創造性をさまざまな形で表現できるようになりました。

 また、多くの素晴らしい人と出会い、先ほど話したようなチームを築くこともできました。目標自体は変わっていませんが、より明確になったと言えます。私たちは皆、まだ成長の途中なんです!」

VTuberに挑戦したい声優へ

VTuberとしてアルファが初めてコンベンションに招待されたのはWeebCon 2026のOshi Loungeだった(動画撮影:Apache787

 VTuberに挑戦したい声優へのアドバイスとして、彼はこう語る。

「服を買いに行くような簡単なものではありません。配信やコミュニティづくりは大変です。キャラクターデザインや世界観構築にしっかりと向き合うことで、その体験はより価値のあるものになります」。

 また、大きな役を演じた声優が直面しがちな固定観念についても触れ、「既存の役に頼りすぎると、『あの作品のキャラの声の人がVTuberに!?』というイメージから抜け出すのが難しくなります」と指摘する。

「私自身もまだ目指す場所に向かって登り始めたばかりなので、もしアドバイスがあればぜひ私に教えてほしいくらいです!」とジョナは明るく語った。

さらなるVTuberとのコラボに向けて

 ジョナはVTuberたちが生み出す作品に深く感銘を受けている。

「VTuber界から出てくるものには、圧倒されることが多々あります。驚異的な技術や新しい表現手法には『一体どうやって作ったんだ!?』と思わせられます。自分のどんな突飛なアイデアも、今すでに行われているものに比べれば見劣りするかもしれません」。

 アルファの兄貴としての直近の配信は(この記事の公開時点から)3週間前だが、『BEASTARS』のプレスツアーがひと段落すれば、コラボの誘いには非常に前向きだという。

「楽しい企画をたくさん用意しています。これからお見せするものを楽しみにしていてください!」とジョナは締めくくった。

本インタビューの機会を提供してくれたKatz Public Relationsに深く感謝します。


※当翻訳記事のサムネイル画像および記事中画像はAlpha AnikiのYouTube動画から作成しました。