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【IDC調査】 IDC Japan、2023年通年の国内AR/VRヘッドセットの出荷台数を発表

2023年通年のヘッドセット出荷台数は前年比67.4%増の56.6万台

 IT専門調査会社IDC Japanは2024年4月3日、2023年通年の国内AR/VRヘッドセットの出荷台数を発表した。

 IDCが発行する「IDC Quarterly Augmented and Virtual Reality Headset Tracker」のデータに基づくと、2023年通年の国内AR/VRヘッドセット出荷台数は前年比67.4%増の56.6万台。対前年比増の大きな要因は、ソニーのVRヘッドセット「PlayStation VR2」(PSVR2)の発売によるものだとしている。

ARヘッドセット動向

 ARヘッドセットの国内年間出荷台数は前年比32.3%増の4.8万台に。成長をけん引するのはXREALに代表されるような、比較的安価なコンシューマー向けデバイスだ。

 2022年から急成長している製品カテゴリで、XREALだけでなくRokidも対前年比大幅増となった。この製品カテゴリに新規参入する企業も増えてきており、今後の成長が期待される。

 一方、法人向けデバイスはマイクロソフトが市場から撤退して以降、その代わりとなる企業が登場してこない。期待されていたMagic Leapは日本国内での発売が遅れたことや、マイクロソフトに比べると販売チャネルが不十分であるためマイクロソフトの代替となるに至っていないようだ。

図1:2023年通年国内ARヘッドセット市場/出典: IDC
(図1:2023年通年国内ARヘッドセット市場/出典: IDC)

VRヘッドセット動向

 VRヘッドセットの国内年間出荷台数は前年比71.6%増の51.7万台。ソニーのPSVR2が発売されたことが対前年比大幅増の大きな要因と推測される。

 また、Metaも2023年第4四半期にMRヘッドセット「Meta Quest 3」を発売したことで対前年比大幅増を達成。同じくPICOも対前年比増となったが、同社は新製品の開発停止をすでに決定しており、ビジネスは停滞している。

 VRヘッドセットはコンシューマー向けには一定の成功を収めているが、法人向け市場の開拓はどのメーカーも足踏みしている状況である。

図2:2023年通年国内VRヘッドセット市場/出典: IDC
(図2:2023年通年国内VRヘッドセット市場/出典: IDC)

 IDC Japanのコンシューマーデバイス部門マーケットアナリスト、井辺将史氏は以下のようにコメントしている。

 「ARは特にコンシューマー向けデバイスが急成長しているが、主要なユースケースがなく依然として安定的な成長軌道にあるとは言えない。またVRはARに比べるとゲーム向けのユースケースが確立されており、安定的な出荷が見込まれるが、期待されているような成長軌道にはまだ乗れていないだろう。

 AR/VR市場は常に新たなユースケース開発や発見が期待されている市場で、その点において注目度の高いAppleのVision Proがローンチされた意味は非常に大きい」。


(出典:IDC