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【IDC調査】 IDC Japan、2024年上半期の国内AR/VRヘッドセットの出荷台数を発表

2024年上半期のヘッドセット出荷台数は前年比34.6%減の16.4万台

 IT専門調査会社IDC Japanは2024年10月21日、2024年上半期(1~6月)の国内AR/VRヘッドセットの出荷台数を発表した。IDCではAR/VRヘッドセットをAugmented Reality(AR)、Virtual Reality(VR)、Mixed Reality(MR)、Extended Reality(ER)の4カテゴリで調査している(※)。

(図:2022上半期~2024上半期 国内AR/VRヘッドセット市場/出典: IDC)

 日本国内の2024年上半期AR/VR/MR/ERヘッドセット出荷台数の合計は、前年比34.6%減の16.4万台となった。

 前年比大幅減となったのはVRカテゴリに含まれるPlayStation VR2(PSVR2)の出荷減の影響が大きい。PSVR2は発売当初は順調だったが、コンテンツ不足などが影響し、その後大幅に出荷数が減少。

 2023年下半期にMetaがMRカテゴリに含まれる「Meta Quest 3」を発売したが、PSVR2の出荷減を補うには至らなかった。


 また、XREALやRokidの製品に代表される、簡単な半透明型のグラスを利用したヘッドセットであるERは順調な成長が観測できる。ERヘッドセットを通して大画面感覚でゲームや映画などのコンテンツを楽しむ消費者は徐々に増えてきているようだ。

 ただし、リモート作業や遠隔作業利用による需要が一巡したことで法人向け製品は足踏み状態にある。


 ARはマイクロソフトのHoloLensが市場から撤退してからは、その代替となる製品が登場しておらず、新たな有力なプレイヤーが登場するまでは今後も需要が縮小すると推測される。


 IDC Japan、コンシューマーデバイス部門のマーケットアナリストである井辺将史氏は以下のようにコメントしている。

「コンシューマー向けヘッドセットはER系デバイスを中心に成長軌道にある。しかし、これまで底堅く需要があったコマーシャル向け製品は足踏み状態にある。

 トレーニング用途や遠隔作業が主なユースケースになるが、これら以外の新しいユースケースが開発されず、これら既存のユースケースも本格導入に至らない企業が多い。現状のヘッドセットのテクノロジーではこれ以上の発展は難しいかもしれない。

 しかし、AIなど新しいテクノロジーが導入されることで操作性や没入感が大きく改善されれば新たな成長の機会は訪れるだろう」。

※ IDCによるAR/VR/MR/ERの定義は以下のとおり。

  • ARヘッドセット: デジタルコンテンツを現実の視野に重ねて表示し、3Dのオブジェクトを操作できるヘッドセット。使用されているグラスは半透明かシースルーになる
  • VRヘッドセット: ユーザーの現実世界の視界を完全にさえぎり、デジタル世界を体験できるヘッドセット。基本的にVRヘッドセットを装着しているときは安全環境であることが求められる
  • MRヘッドセット: VRと類似しているが、外向きカメラが備えられており、装着したうえでの外出も可能。完全没入型環境と、現実の中にオブジェクトを表示したり追加したりすることができる環境を切り替えることができる
  • ERヘッドセット: 外部コンテンツの表示を提供する、シースルーまたは半透明のディスプレイを持つ。単眼であることが必須ではないが、単眼タイプの製品が多く含まれる

(出典:IDC