Meta、ディスプレイ付きAIグラス「Meta Ray-Ban Display」を発表

ディスプレイ搭載、リストバンドで操作する最新AIグラス

 Metaは現地時間2025年9月17日、AIグラス「Meta Ray-Ban Display」を発表した。まずは9月30日より米国で販売開始、価格は799ドル(約11万7500円)。日本での販売は未定となっている。

Meta Ray-Ban Display 製品スペック

 「Meta Ray-Ban Display」はMetaの年次開発者会議「Meta Connect 2025」内で発表された。同製品は開発コード「Hypernova」として以前から話題になっていたが、今回正式に製品として発表された形だ。

 Meta Ray-Ban Displayの主要なスペックは以下のとおり。

 なお、今回発表されたMeta Ray-Ban Displayは、Metaが“真のARグラス”と呼称する「Orion」とは別のプロダクトである点は注意が必要である。

Meta Ray-Ban Display(グラス本体)

プロセッサーQualcomm Snapdragon AR1 Gen 1
RAM/ストレージ2G/32GB
ディスプレイ・ 単眼フルカラーLCoSディスプレイ(右目)
・ 解像度 600 × 600ピクセル(42PPI)
・ 視野角 (FOV) 20度
・ リフレッシュレート 90Hz(コンテンツは30Hz)
・ 輝度 30~5000ニト
レンズ・ 調光レンズ
・ 矯正レンズ対応(ー4.00 ~ +4.00)
カメラ・ 12MP (3倍デジタルズームあり)
・ 静止画 3024 × 4032ピクセル
・ 動画 1080p / 30fps(1440 × 1920ピクセル)
音声デュアルオープンイヤースピーカー/マイク(6基)
ネットワークWi-Fi 6/Bluetooth 5.3
対応AIMeta AI
対応OSiOS 15.2以降/Android 10以降
入力インターフェイスMeta Neural Band/音声/タッチセンサー&ボタン(フレーム部)
バッテリー駆動時間最大6時間。付属の充電ケースと併用で最大30時間駆動
防水・防塵IPx4
サイズ/カラーサイズ: 標準/ラージ
カラー: シャイニーブラック/シャイニーサンド
本体重量69g(標準)/70g(ラージ)
価格799ドル

Meta Neural Band(リストバンド)

ネットワークBluetooth 5.2
防水・防塵IPX7
サイズ/カラーサイズ: 3サイズ
カラー: シャイニーブラック/シャイニーサンド
その他触覚フィードバック機能あり
本体重量42g
バッテリー18時間駆動

Meta Ray-Ban Displayの特徴

Meta Ray-Ban Display(グラス本体+リストバンド)
画像出典:Meta

Metaの最新メガネ型ウェアラブルAIグラス

 Meta Ray-Ban Displayは、Metaが2021年9月に発表・発売を開始したスマートグラス「Ray-Ban Stories」(日本未発売)の系譜に連なる、同社の最新メガネ型ウェアラブルAIグラス。

 今回発表されたMeta Ray-Ban Displayは、Ray-Banとのコラボは継続しつつ、先代の「Ray-Ban Metaスマートグラス」と同等の機能を持つ。加えて、右目側のレンズにディスプレイを搭載していること、同梱のリストバンド「Meta Neural Band」で各種操作ができることが大きな特徴だ。

右目にディスプレイ搭載

 Meta Ray-Ban Displayは既存のRay-Ban Metaスマートグラスと異なり、右目側にフルカラーディスプレイを搭載しているのが特徴のひとつ。

 ディスプレイはレンズの中央からやや右寄りに配置。常時点灯ではなく操作時のみ表示されるため、ユーザーの視界をさえぎらない。また、必要に応じてディスプレイの表示オン/オフ設定も可能だ。

 ディスプレイ性能はフルカラーLCoSディスプレイ、600 × 600ピクセル(42PPI)、視野角(FOV) 20度。リフレッシュレートは90Hzで、表示コンテンツは30Hzとなっている。

 ちなみに、ディスプレイ技術とAR/VR分野の技術専門家であるKarl Guttag氏は、Meta Ray-Ban DisplayのディスプレイにはLumus製の光学導波管(ウェーブガイド)が採用されていると推測している。 

筋電リストバンド「Meta Neural Band」でデバイス操作

 Meta Ray-Ban Displayのもう一つの特徴として、デバイス操作が可能なリストバンド「Meta Neural Band」が付属している点が挙げられる。リストバンドには筋電センサーが内蔵されており、装着者の腕の筋電位の変化を検知して入力信号に変換する。

 Meta Neural Bandにより、従来のタッチスクリーン・ボタン・ダイヤルといった操作をわずかな手の動きだけで直感的に行うことができる。また、将来的にはテキスト入力も可能になるだろうとしている。

 なお、筋電センサーによるデバイス操作には、Facebook時代(2019年9月)に買収したCtrl-Labsの技術が活用されているものと推測される。

Meta AIとの連携で「日常のタスク」がさらにこなしやすく

 Meta Ray-Ban Displayも従来のMeta製品と同様、Meta AIが利用可能。ディスプレイ表示やMeta Neural Bandとの連携により、以下のようなタスクをより簡単にこなせるようになる。

  • Meta AIと映像の連携: 質問への回答や作業手順の表示など、映像との組み合わせで音声だけよりも多くのことが可能に。Meta Neural Bandで操作もより簡単に
  • メッセージとビデオ通話: WhatsApp、Messenger、Instagram、スマートフォンのメッセージをディスプレイで確認できる。WhatsAppやMessengerからのライブビデオ通話にも応答可能
  • プレビューとズーム: リアルタイムのカメラビューファインダーとズーム機能で写真撮影可能。撮影した写真や動画の選択・共有もディスプレイ表示でより直観的に
  • ルートナビ: 周辺地図や目的地までの徒歩ルートをディスプレイに表示。当初は一部の都市でベータ版として提供開始し、今後対応都市を拡大していく予定
  • リアルタイム翻訳&字幕: 自分に向けられた音声に字幕を表示したり、選択した言語をリアルタイムで翻訳したりできる
  • 音楽再生: ディスプレイに表示される音楽カードで、現在聴いている音楽をリアルタイムで確認可能。リストバンドで音楽を操作したり音量調節も可能

日本での販売は未定

 公式発表によれば、Meta Ray-Ban Displayは2025年9月30日からまずは米国で販売開始。その後2026年初頭よりカナダ・フランス・イタリア・イギリスで販売予定で、日本は対象に含まれていない。

 現在グローバルで人気の「Ray-Ban Metaスマートグラス」やその前身である「Ray-Ban Stories」など、MetaのAIグラス製品は日本ではすべて未発売。今回も日本発売の可能性は高くはなさそうだが、続報に期待したい。


(出典・参考: Meta(1)Meta(2)Road to VRUploadVR