もくじ 開く
- Steam Frameとは?
- Steam Frameのスペック
- Steam Frameの主な特徴
- Steam FrameはVALVE INDEXの後継機?
- Steam Frame FAQ
- Steam Frameの動画レビュー
- Steam Frameの技術とゲーム互換性
- SteamOSとスタンドアロンゲーム
- Foveated Streamingとは?
- ワイヤレスPC VRの仕組み
- DisplayPortを搭載しない理由
- Steam Frame Controllers
- Steam Frame Standalone Verifiedとは?
- Steam Frameで遊べるゲーム
- Steam Frame発売までの経緯
- Steam FrameとVALVE INDEXの違い
- Steam FrameとMeta Quest 3の違い
- Steam Frameのメリット・デメリット
- Steam Frameはどんな人におすすめ?
- 関連記事
Steam Frameの技術とゲーム互換性
Steam FrameではARM64環境でSteamゲームを動かすために、Proton、FEX、Leptonなどの互換レイヤーを利用します。さらに、ワイヤレスPC VRを実現するFoveated Streamingなど、Valve独自のソフトウェア技術を組み合わせた構成です。
ここでは、Steam Frameが「Steamのゲームをどう動かすのか」を中心に解説します。
SteamOSとスタンドアロンゲーム
Steam Frameは、SteamOS上でゲームを動かします。
Valveによると、Steam FrameはSnapdragon 8 Gen 3のArm64環境でSteamOSを動作させ、異なるOSやCPUアーキテクチャ向けのゲームを互換レイヤー経由で実行します。
対応方法は大きく、
● Windowsゲーム → Proton
● x86ゲーム → FEX
● Androidゲーム → Lepton
● ARM64ゲーム → ネイティブ実行
という構成です。これがSteam Frameのソフトウェア面における基本的な仕組みです。
Protonとは?
Proton(プロトン)はValveが開発した、Windows向けゲームをSteamOS(Linuxベース)でそのまま動かすための互換レイヤーです。
通常、Windows用に作られたゲームプログラム(.exe)はLinuxでは動作しません。Protonはゲームからの指示をリアルタイムでLinuxが理解できる形式に変換することで、Windows用ゲームを改修することなくLinux上でプレイ可能にしています。
なお、ProtonはSteamクライアントに組み込まれているため、ユーザーが複雑な設定やインストール作業をする必要はありません。
【関連】 SteamハードウェアとProton(Steamworksドキュメント)
FEXとは?
Steam FrameのSoCはARM64ですが、PCゲームの多くはx86 / x86-64向けに作られています。
そこで使われるのがFEXです。FEXはx86の32bit / 64bitコードをArm64命令へ変換し、OpenGLやVulkanなどのAPI呼び出しもホスト側のネイティブライブラリへ渡します。こうした仕組みにより、エミュレーションによる処理の負担を抑えています。
たとえばWindowsゲームの場合は、
Windowsゲーム → Proton → FEX → ARM64 / SteamOS
という経路が基本です。Valveは、多くの開発者にとってWindows x86版をProton+FEXで動かす方式が中心になると説明しています。
Leptonとは?
Steam FrameはAndroidゲームにも対応します。そのために使われる互換レイヤーがLeptonです。
LeptonはAndroid向けゲームをLinux上で動かすための仕組みで、コンテナ技術を利用して実装されています。これにより、AndroidゲームをSteam Frame上で動かす際の負荷を抑える設計になっています。
【関連】 adbをLeptonに接続する方法(Steamworksドキュメント)
Foveated Streamingとは?
Steam FrameのワイヤレスPC VRを支える技術がFoveated Streaming(フォービエイテッド・ストリーミング、中心窩ストリーミング)です。
一般的なFoveated Rendering(フォービエイテッド・レンダリング、中心窩レンダリング)では、視線が向いている部分を高精細に描画し、それ以外の領域の処理負荷を下げます。
Steam Frameでは、この考え方をPCからヘッドセットへ送るストリーミング映像のビットレート配分にも利用します。
アイトラッキングによってユーザーの視線を把握し、見ている場所に高品質なデータを多く割り当て、それ以外の領域を圧縮することで、限られた無線帯域を効率的に利用するのがFoveated Streamingです。
Foveated Streamingではストリーミング側で視線情報を利用できるので、ゲームそのものをFoveated Rendering対応にしなくてもよいという特徴があります。
ワイヤレスPC VRの仕組み
ValveはSteam FrameをPCからの低遅延ストリーミングを主要用途とするデバイスとして位置付けています。
PCとSteam Frameの接続には、付属の6GHz Wi-Fi 6Eワイヤレスアダプターを使います。自宅のWi-Fiを経由するストリーミングも可能ですが、専用アダプターによる直接接続は混雑や信頼性の面で有利です。
なお、Steam Frame本体はWi-Fi 7の2×2無線を搭載しています。本体の一般的な無線通信にはWi-Fi 7、PC VRストリーミングには専用6GHz Wi-Fi 6Eを使えます。
DisplayPortを搭載しない理由
Steam FrameにはDisplayPortによる有線映像入力がありません。これはValveが従来型の有線PC VRよりもワイヤレスPC VRを中心に設計したためです。
専用6GHz無線アダプター、低遅延ストリーミング、Foveated Streamingなどを組み合わせることで、ケーブルを使わずPC VRを利用することを狙っています。VALVE INDEXなどのDisplayPort接続型VRヘッドセットとは、PCとの接続方式そのものが異なります。
Steam Frame Controllers
Steam Frameには専用コントローラー「Steam Frame Controllers」が付属します。
Valveによると、標準的なゲーム機用コントローラーの機能に加えて、タッチ状態の検知、グリップボタン、静電容量式フィンガートラッキング、6DoF空間トラッキングを備えています。さらに、非VRゲームではSteam Inputを利用し、ゲームによっては汎用ゲームパッドと同じように操作することが可能です。
Steam Frame Standalone Verifiedとは?
Steam Frameでは、ゲームがヘッドセット単体で適切に動作するかを評価する「Standalone Verified」制度が導入されています。
ここで重要なのは、PCからゲームをストリーミングした場合ではなく、Steam Frame上でゲームをローカル実行した場合の評価だということです。Valveの基準では、
● 2Dタイトル:1280 × 720で最低30fps
● VRタイトル:1728 × 1728で最低72fps
がパフォーマンスの基本的な最低ラインです。また、性能だけでなく、コントローラー対応、UIの可読性、ゲーム起動時のシームレスさなども評価対象となっています。
Steam Frameで遊べるゲーム
Steam FrameでSteamゲームを遊ぶ方法は、大きく2つあります。
1. PCからストリーミングする
PC側でゲームを起動し、その映像をSteam Frameへ送信します。この場合はPCのCPU・GPUを使うため、Steam Frame単体の性能による制約を受けにくくなります。
2. Steam Frame単体で実行する
SteamOS上でゲームを直接実行します。ただし、すべてのSteamゲームがスタンドアロンで動作するわけではありません。ゲームによって必要な互換レイヤーや性能が異なるため、Standalone Verifiedがひとつの目安になります。
Steam Frame発売までの経緯
Steam Frameは2025年11月に正式発表され、当初は2026年初頭に発売予定とアナウンスされていました。
その後、部品価格や供給状況の変化によって発売計画が見直され、2026年6月にはあらためて「2026年夏に出荷する」と発表。最終的に2026年9月14日(米国時間)に価格発表&予約開始となりました。
ここではSteam Frameが登場するまでの経緯や、VALVE INDEX、Meta Quest 3との違いを整理します。
Steam Frame発売までのタイムライン
2019年のVALVE INDEX登場から、Steam Frameが登場した2026年までのざっくりしたタイムラインは以下のとおりです(日時は米国基準)。
Steam Frame価格発表&販売開始
SteamVR 2.17更新
互換レイヤー「Lepton」「FEX」がSteamで公開
Steam Frameが米FCC認証を取得
Steam Frameコンテンツ用のストアランディングページを公開
Steam Machine Verified / Steam Frame Standalone Verifiedを正式発表
Steam Frame / Steam Machineを今夏発売予定と発表
Steam Controller 発売(日本は5/5)
「Steam Frame Standalone Verified」の要件を発表
新製品を2026年内に発売予定と発表
新製品の発売日を2026年上半期に変更すると発表
STEAM FRAME / Steam Machine / Steam Controller正式発表
Valveが「STEAM FRAME」を米国で商標登録出願
【参考】 Bigscreen Beyond 2 発売(2eは6月)
【参考】 Meta Quest 3S 発売
【参考】 PICO 4 Ultra 発売(日本)
【参考】 Apple Vision Pro 発売(日本は6/28)
【参考】 Meta Quest 3 発売
【参考】 Bigscreen Beyond 発売
【参考】 PlayStation VR2(PSVR2) 発売
【参考】 PICO 4 発売(日本)
コードネーム「Deckard」が見つかる
VALVE INDEX 日本発売
VALVE INDEX発売
Steam FrameとVALVE INDEXの違い
Steam FrameはVALVE INDEXを単純に高性能化した製品ではなく、ワイヤレスPC VRとスタンドアロンゲームを一体化した、VALVE INDEXとはまったく異なる設計のVRヘッドセットです。
VALVE INDEXはすでに7年前のVRヘッドセットなので、もはや「買い替えるかどうか」という悩みは生じないと思いますが、両者の設計思想の違いは理解しておいたほうがよいでしょう。
| Steam Frame | VALVE INDEX | |
|---|---|---|
| 発売 | 2026年予定 | 2019/6/28(日本は11/28) |
| スタンドアロン | ○ | × |
| PC VR | ○ | ○ |
| PC接続 | ワイヤレス中心(有線も可) | 有線接続(DisplayPort) |
| トラッキング | インサイドアウト | SteamVR Base Station |
| OS | SteamOS | PC依存 |
| 解像度 | 片目あたり2160 × 2160 | 片目あたり1440 × 1600 |
| アイトラッキング | ○ | × |
| DisplayPort | × | ○ |
| 重量 | 約440g | 約809g |
Steam FrameとMeta Quest 3の違い
Steam FrameとMeta Quest 3はいずれもスタンドアロンVRとPC VRを扱えるため、比較対象になりやすい製品です。ただし、両者が重視する部分は異なります。Steam Frameでは
- SteamOS
- SteamVR
- OpenXR
- Proton/FEX/Lepton
- Steamライブラリ
を中心に設計されています。
一方、Steam Frameはカラーパススルーを採用せず、専用6GHz無線とFoveated StreamingによるPC VRを大きな特徴としています。
そのため、「どちらが高性能か」という単純な性能比較よりも、「Steamゲームを中心にプレイするのか」「Meta Horizonストアのライブラリ資産を活用するのか」「MR用途も重視するのか」などで適性を考えるべきです。
Steam Frameのメリット・デメリット
メリット
- SteamOSによるスタンドアロン動作
- PCからSteamライブラリをワイヤレスでストリーミング
- VR・非VRゲームの両方に対応
- アイトラッキング搭載
- 専用6GHz Wi-Fi 6Eアダプター同梱
- Foveated Streaming
- FEXによるx86ゲーム対応
- LeptonによるAndroidゲーム対応
デメリット・注意点
- DisplayPortによる有線PC VRに非対応
- パススルーはモノクロ(※)
- スタンドアロン互換性はゲームによって異なる
- バッテリー駆動が必要
- Meta QuestやPICOのソフトウェア資産が活かせない
※サードパーティ製のカラーパススルーカメラ「Arcturus Vision Camera」が発売されている。
Steam Frameはどんな人におすすめ?
Steam Frameは、Steamを中心にゲームをプレイしているPCユーザーに特に向いていると言えます。特に、
- PC VRをワイヤレスでプレイしたい
- VRゲームだけでなく通常のPCゲームも遊びたい
- Steam DeckなどSteamOSの考え方に馴染みがある
- Steamライブラリを一つのデバイスで利用したい
- VRヘッドセットに10万円以上投資できる
というユーザーとは相性が良いでしょう。一方、
- VR/MRヘッドセットに十数万円も投資できない
- カラーパススルーやMR(Mixed Reality)も重視する
- DisplayPortによる有線接続を利用したい
- 外部ベースステーションを使ったVR環境を継続したい
というユーザーは、Steam Frame以外の選択肢も検討したほうがよいでしょう。

