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個人向け&1台持ちなら選択肢はそれほど多くない
MetaのMRヘッドセット「Meta Quest 3」を筆頭に、VR/MRヘッドセットは各社からさまざまな製品が販売されています。
これからVR/MRヘッドセットを買おうという人にとってはどれを買うべきかが悩みどころのように思えますが、「個人向けに1台だけ、主用途はエンタメ」ということであれば、実は選択肢はそれほど多くはありません。
本記事では2024年9月末時点でおすすめのVR/MRヘッドセットを、おすすめの理由と合わせて紹介します。
Meta Quest 3S: 初心者ならこれ一択。ストレージ容量だけが悩みどころ
2024年9月末に開催されたMetaの年次開発者イベント「Meta Connect 2024」で正式発表。Meta Quest 2からやや薄型化したフレームに、Meta Quest 3寄りのSoCやセンサーを搭載したVR/MRヘッドセットです。価格はストレージ128GBモデルが4万8400円、256GBモデルが6万4900円(いずれも税込)となっています。
スペックではMeta Quest 3に劣りますが、日本国内価格で2万円以上の差(128GBモデル同士の場合)は無視できません。また、競合他社製品と比べても最安です。
一方で、Meta Quest 3の廉価版という位置づけではあるものの、Meta Quest 3専用アプリもプレイできます。Meta Quest 3登場以降、Meta Quest 2ではプレイできないアプリも増えてきた(今後も増える)ので、ここも無視できないポイントです。
そしてなにより業界シェアトップであるMeta社の製品であることが大きいです。Meta Quest専用アプリストア「Meta Horizonストア」もあり、安定感・安心感があります。初めてVR/MRヘッドセットを所有する&予算が限られているという人であれば、Meta Quest 3Sで間違いないでしょう。
ただし、1本で30~50GBサイズのアプリも増えてきたため、128GBモデルだとストレージ管理が面倒になる可能性があることはあらかじめ覚悟しておいたほうがよいでしょう。
- 現行の競合製品の中ではもっとも安い
- Meta Quest 3専用アプリ(性能的にQuest 2ではプレイできないアプリ)も利用可能
- Meta公式アプリストアのほか、PC接続でSteamのVRタイトルもプレイ可能
- Meta Questである
- 重量バランスはMeta Quest 2と同程度に悪い(フロントヘビー、前方への荷重が大きい)
- ストレージ128GBモデルでは容量不足になる可能性あり
Meta Quest 3: 予算があるならQuest 3Sよりこちら
予算があるならQuest 3SよりもQuest 3がおすすめなのは言うまでもありません。 Meta Quest 3Sの登場にともない値下げされたこともあり、以前よりいくらか買いやすくなりました(128GBモデルが6万9300円、512GBモデルが8万1400円。ともに税込)。
最大の悩みどころになるのは「Quest 3Sの256GBモデルとQuest 3の128GBモデルのどちらのするべきか」だと思いますが、Meta Quest 3の128GBモデルは在庫限りで販売終了になるため、やはり予算があるならQuest 3の512GBがベスト、という状況は変わりません。
その他、Questシリーズの利点として、サードパーティ製の周辺機器やアクセサリーが豊富なことも挙げられます。これもVR/MRヘッドセットでは最大シェアの製品であることの強みでしょう。先に挙げたQuest 3Sもおそらくそれなりに売れるはずなので、今後関連製品が多数出てくるはずです。
- Meta Quest 3専用アプリが利用可能
- Meta公式アプリストアのほか、PC接続でSteamのVRタイトルもプレイ可能
- サードパーティ製の周辺機器やアクセサリーが豊富
- Meta Questである
- ストレージ128GBモデルは容量不足(※ただしもうすぐ販売終了)
- ストレージ512GBモデルはややお高め
PICO 4 Ultra: Meta嫌いなら購入候補に?
現時点ではMeta Quest 3対抗馬の筆頭と言えるPICO 4 Ultra。スペック面でもほぼ互角の製品で、約9万円という価格もMeta Quest 3と比較すると妥当ではあります。が、Meta Quest 3の512GBモデルが価格改定で8万1400円に値下げされたので、価格優位性も弱まった感があります。
PICO 4 Ultraの懸念点はPICOの政治的立場(バイトダンス傘下)でしょうか。Metaと比べてやや安定感に欠ける感があります。先代のPICO 4が北米で販売されていないのも、親会社のバイトダンスが擁するTikTok関連の影響とも言われていますし、PICOがこの先VR/MRにどれだけリソースを割けるのかも不透明です。
購入を検討する理由になるとしたら、やはりトラッキングデバイス「PICO Tracker」の存在でしょう。安価のわりに性能がよいようで、VRChatなどでフルボディトラッキングを楽しみたい人には向いていそうです。あとはMeta社に不信感があり、Meta製品はなるべく避けたい人とか……。
なお、PICO 4 Ultraは先代のPICO 4のときからハンドトラッキング機能やビデオパススルー機能でQuestにやや遅れているとされているため、PICO 4 Ultraを選ぶならソフトウェアの改善に辛抱強くつきあう必要が出てきそうです。
- トラッキングデバイス「PICO Tracker」は性能のわりに安価
- 12GB RAM、ストレージ256GBとスペックに余裕がある
- フェイシャルクッションの形状がアジア人向けとされる(彫りが深くない)
- 専用のPICOストアはSteamやMeta Horizonストアと比べてラインナップが弱い
- Meta Questじゃない
HTC VIVE Focus Vision: VRChatプレイ率が高くなりそうなら購入候補
HTC VIVEの最新スタンドアロン型VR/MRヘッドセット。マーケティング的にはゲーマー向けをアピールしていますが、実際のところは前モデルにあたるVIVE Focus 3と同様、法人向けが主戦場になるはずの製品です。
Meta QuestではなくあえてFocus Visionを選ぶとしたら、やはりDisplayPort対応というところでしょうか。しかしそうなると必然的に有線接続+PC VRとなるので、ハイクオリティなVR PCタイトルや、VRChatをメインにしたいユーザーには向くかもしれません。
その他、特にVRChatユーザーにとっては、いずれ欲しくなるかもしれないフェイシャルトラッカーやボディトラッカーなどをHTCブランドで揃えられるのも将来的なメリットになりえます。
- ディスプレイ解像度が比較的高め(片目あたり2448×2448px)
- DisplayPort対応で高品質なPC VR体験が可能
- VIVE謹製のアドオン製品(トラッカーなど)で性能強化しやすい
- SoCが実質2世代前(Snapdragon XR2 Gen1)
- 専用ストア(VIVEPORT)はSteamやMeta Horizonストアと比べてラインナップが弱い
- Meta Questじゃない
PlayStation VR2(PSVR2): すでにPS5を持っているなら。直近の値上げが痛い
PlayStation 5(PS5)に接続して利用するVRヘッドセット。競合製品にはない独自機能の多さや、PS5との接続のしやすさが魅力です。VRではないものの、PS5のソフトをバーチャル空間内で大画面プレイできるのもメリットでしょう。
しかし、2024年9月の価格改定により約9万円に値上げ。先立って8月にはPCに接続できるアダプター「PlayStation VR2 PCアダプター」も発売されましたが、PC接続ではPSVR2独自機能の多くが利用不可ということもあり、PC VR用として購入するのも微妙な感じになってしまいました。
すでにPS5&多くのソフト資産を持っている場合を除き、今から積極的に購入する動機は薄いかもしれません。
- 競合製品にはない独自機能が多い
- 母艦であるPlayStation 5との接続が容易
- 2DながらPS5のソフト資産も活かせる
- 2024年9月の価格改定により割安感がなくなった
- 専用タイトルを含め、VRタイトルのラインナップが弱い
- PC接続ではPSVR2独自機能の多くが使えない
- Meta Questじゃない
Bigscreen Beyond: 上級者向け。素人にはおすすめできない
競合製品と比べて圧倒的な小型・軽量なVRヘッドセット(「VRグラス」と言っていいかも)。
有線接続必須・ベースステーション必須・約17万円という価格、購入にかかる手間など、実際にはとうてい初心者向けではありません。が、それらを乗り越えられる人には現状ベストチョイスになる可能性がある製品です。
- 競合製品と比べて圧倒的に小型・軽量
- ディスプレイ解像度が比較的高め(片目あたり2560×2560px)
- 外部センサー(SteamVR Base Station 2.0)が必要
- コントローラーが別売り
- Meta Questじゃない
Apple Vision Pro: 性能は圧倒的。お金持ち&Apple信者なら
2024年2月(日本では6月)に発売された“空間コンピューティングデバイス”ことApple Vision Pro。実態はVR/MRヘッドセットです。
VR/MRヘッドセットとして高性能なのは間違いありませんが、いかんせん高価なため、個人で買うにはハードルが高いです。また、個人購入者の少なさから知見の共有がしにくいという難点も。
Apple製品は従来より3代目くらいから性能も価格もこなれてくる感があるので、Apple製品好きであっても今はまだ様子見が正解と思われます。
- ディスプレイ表示能力をはじめ、競合製品より高性能な機能が多い
- 専用アプリはまだ少ないが、App Storeの2Dアプリをヘッドセット内で利用可能
- Macbookシリーズなど、Apple製品との連携に優れる
- Meta Questじゃない(※Apple Vision Proに限り長所に)
- 競合製品より格段に高価
- コントローラーがない(アイトラッキング/ハンドトラッキングによる操作)
- 実はけっこう重い(本体600~650g+外付バッテリー350g)
上記以外
上記以外の製品が思い浮かぶ・購入を検討している人は、特にアドバイスなどは要らない人だと思われます。ご自身の目的やポリシーに順じてVR/MRの世界に飛び込んでください。
結論: Apple Vision Pro以外ならMeta Questを選ぶのが吉
明らかに別のエコシステム上にあるApple Vision Proを除けば、積極的にMeta Quest以外を選ぶ理由はほとんど見当たりません。PSVR2もPC接続アダプターが出たことで、いちおう独自のエコシステムだけではなくなっています。
欧米の一部ではMetaに対する強い不信があり、Meta製品を忌避する動きもあるようですが、日本の場合はMetaに対する不信感はそこまで強くないように思われます。
Meta Questであればデバイスとしての性能に加え、ユーザーも多いので利用に関するノウハウを共有しやすいというメリットもあります。「VR/MRに興味はあるけど、くわしいことはわからない」という人であれば、まずはMeta Questシリーズから始めることを強くおすすめします。