【雑記】AppleのMRデバイスに関する噂まとめ(WWDC2023前)

 数年前から噂には上り続けているものの、いまだにその姿を見せないAppleのAR/VRヘッドセット。

 ですが2023年となった今、「今度こそ出るのでは?」という空気が漂っています。もし本当に発表されるとしたら、可能性が最も高いのは日本時間6月6日~10日に開催が迫るWWDC 2023でしょう。

 ということで、これまでに出ている情報(噂や推測のほか、一部確定した事実も含む)を整理してみました。製品発表があるにせよないにせよ、イベント前の楽しみのひとつということで……。

情報の主な出どころ

 AppleのAR/VRヘッドセットに関する主な情報の出どころとしてよく知られるのは、Apple製品の情報リークで知られるアナリスト、ミンチー・クオ(Ming-Chi Kuo)氏と、米国の情報プロバイダー・Bloomberg(本家日本版)の主任特派員であるMark Gurman氏の2人。

 ミンチー・クオ氏についてはAppleマニアの間ではすでに有名かと。Mark Gurman氏もApple製品情報を追うジャーナリストとして知られてはいますが、Apple製AR/VRヘッドセットへの注目・期待が高まっているせいか、ここ半年ほどは特に存在感を増しているように思えます。

 なんにせよ、「噂レベルでもいいから最新情報が欲しい」という人は、テック系メディアやApple製品情報専門メディアに加えてこの2人もマークしておくとよさそうです。

 なお、本記事でまとめた情報は海外の複数のサイトから集めていますが、THE VERGEのこちらのまとめが情報をひととおり網羅しており便利です。

ハードウェアスペック関連情報

 今までに出ているハードウェアのスペック情報(噂)をまとめると以下のような感じになります。互いに矛盾する情報も含まれるのは、長期間にわたって噂され続けていることも大いに影響しているでしょう。

● AR / VR両対応のいわゆるMRヘッドセット
● (ほぼ)スタンドアロン型。ケーブル経由で外部のモバイルバッテリーに繋ぐ方式
● SoCはMacBook等でも採用されているM2のバリエーション
● ディスプレイは4K OLEDマイクロディスプレイ×2(両目で8K)
● 視野角(FoV)120度
● 機械式IPD調節機能
● 内外10基以上のカメラを搭載(12基とも14基とも)
● カラーパススルー機能
● アイトラッキング機能
● フェイストラッキング機能
● ハンドトラッキング機能
● ボディ(足)トラッキング機能
● 虹彩認証機能
● 空間認識用のLiDARセンサー搭載
● 純正バッテリーモジュールの持続時間は2時間程度
● バッテリーモジュールのほか、有線でMacにも接続可能
● バッテリーモジュールとの接続に使われるケーブルはMagSafeのようなマグネット着脱式
● ケーブルポートは充電用(MagSafeタイプ)とデータ転送用(USB-C)の2系統ある
● VRと現実世界の映像切り替え用の物理ダイヤルがある
● フェイスプレート部にユーザーの顔や目の動きを表示する外向きディスプレイがある
● スピーカー内蔵。オーディオ端子はなし
● AirPods Proとワイヤレス接続可能。AirPods Proおよびヘッドセットに搭載されたH2チップで超低遅延通信を実現
● デバイスの操作はハンドトラッキング(ハンドジェスチャー)。専用コントローラーはないが、指輪型のコントローラーなども検討されている
● 視力矯正は度入りレンズを装着するアタッチメントで行う
● 本体重量は300~400g
● 価格は3000米ドルから。一方で1000米ドル程度との予測も

OS/ソフトウェア関連情報

● 「xrOS」と呼ばれるカスタムOSを搭載(「realityOS」または「rOS」から「xrOS」に改称)
● 「realityOS」の名称は米国特許商標庁(USPTO)に商標登録出願済み
● 既存のiOS/iPad OSアプリを実行できる(ただしフラットスクリーンのまま)
● カメラ/Webブラウザ(Safari)/Freeform(日本語名「フリーボード」)/Apple TV/Apple Booksほか、MRデバイスに最適化されたiPadアプリが複数用意される
● MRデバイス用FaceTimeは相手をアバターとしてリアルタイムレンダリングできる

その他

● 製品名は「Reality One」または「Reality Pro」、あるいはその両方
● XRデバイスの開発プロジェクトは少なくともプロジェクトコード「N301」「N421」「N602」の3つがあるが、どれがReality One、Reality Proに相当するかは不明。また、各プロジェクトの現状(継続中/変更/中止など)も不明
● SoC名とおぼしき「Reality Processor」の名称が商標登録出願済み
● 2022年5月のApple取締役会で製品のお披露目が行われた
● 初年度のデバイスの販売目標台数は20~30万台程度(世界のAppleユーザー数からすると相当少ない)。一方で1000万台を目指すという予測も
● すでに第2世代も開発が進められており、より軽量化され、(機能とのトレードオフで)廉価になる
● 噂されているMRヘッドセットの後に出る予定だったARグラスの開発は無期限延期
量産化の遅れでWWDCでの発表はやっぱないかもミンチー・クオ談

 ……オチがひどい。

(2023/5/27、31追記)

 本記事公開後に出てきた情報を追記します。

● ミンチー・クオ、その後の情報から↑の発言を翻し「やっぱり発表される可能性が高い」に再修正
● チップは2基。メインSoCのほか、専用の画像信号プロセッサ(ISP)搭載。どちらも5nmプロセス
● ヘッドセットの製造原価は1500~1600ドル相当
● Oculus創設者のパルマー・ラッキーがAppleのヘッドセットについてツイート
● ニュージーランドでも「xrOS」を商標登録出願
● WWDC 2023には今まで声がかからなかったXR系メディア・個人も招待されている
● AppleのCEO、ティム・クックが当初希望していたのとは違う路線の製品になっている
● ディスプレイサイズは1.41インチ(×2)、4000ppi、最大輝度は5000ニト超

(2024/1/21追記)

 最終的に「Apple Vision Pro」の名称となった同製品、米国では2024年2月2日の発売に先駆け、製品スペックが公式サイトで公開になりました。大きく外れたのは名称と重量ぐらいでしょうか。