インドのVTuberグループ「Project Starscape」に注目【翻訳転載】

Note

 本記事は海外のVTuber専門Webメディア「VTuber NewsDrop」の記事を、許諾を得て翻訳・転載したものです(記事中で使用している画像は訳者が独自に用意したもの。元記事とは異なる場合があります)。


インドのVTuberグループ「Project Starscape」に注目

自らをインド初と称する、VTuberグループ「Starscape」について探る。

By Jay Agonoy (2024/6/20)

 今や世界でもっとも人口の多い国であるインドが、VTuberを含むアニメ文化の市場にもなっていることはあまり知られていない。

 インドは2016年から世界コスプレサミット参加している。アニメ配信サイトCrunchyroll(※日本からは視聴不可)は、2022年にヒンディー語の字幕と吹き替えでインドの視聴者に対応し始めた。

 そしてこの2つのできごとの間に、にじさんじは2019年、インドでVTuberを展開する試みを行っている(この取り組みは長くは続かなかった)。

 2021年、Project StarscapeはVTuberとコスプレタレントをデビューさせ、積極的に活動中だ。Project Starscapeの代表であるVenu G. Joshi氏を通して、同グループにスポットライトを当てる。

日本文化のファンの増加に期待

 「VTuberが爆発的に増えたとき、インドでもVTuberがすぐに現れるだろうと思っていました」とVenu氏は語る。「インド人VTuberのための企業やエージェンシーが現れるのを何か月も待ちました。でも、結局ひとつも出てこなかったので、自分でやるしかなかったんです」。

 Venu氏はホロライブを通じてVTuberの世界にハマり、宝鐘マリンと赤井はあとにインスピレーションを受けたと言う。そして、彼女たちのようなタレントをインドでも流行らせられるかを確かめたかったのだ。

 「この新しいVTuberコンテンツ業界は完全に女性優位で、(通常は)男性優位のゲーマーやゲームコンテンツ業界では目新しいことでした。

 VTuberのトップ勢をほぼ女性が占めていることにスカッとした気分になりました。そして、同じようなことがインドでは起きていない、行われていないことは受け入れがたいと感じたんです」。

 我々はVenu氏に、インドにおける日本のポップカルチャーシーンについて尋ねてみた。

 「日本文化はインドでかなりのスピードで成長しています。アニメ映画は毎年増えていますし、ヒンディー語の吹き替えも増えています。

 近い将来、日本や日本のアニメにインスパイアされたコンテンツの人気が雪だるま式にメジャーになるような転換点が来るでしょう。私たちはそれを待ち望んでいますし、加速させようとしているんです」。

我々が見たStarscapeのタレントのほとんどは現役の配信者。Artemis Solもその一人で、毎週のように配信している

Project Starscapeのクリエイターたち

 「Project Starscapeの持つ強みはすべて、献身的なスタッフとタレントがいてこそです。彼らはVTuberがインド国内で広く受け入れられ、高く評価されるエンタメにするために24時間体制で働いています」。

 人気VTuberの1人であるSzivana Nabilaは、YouTubeでほぼ毎日1万1000人のファンに向けて配信している。この天女(Apsara) VTuberは今月、Make-A-Wish Indiaのライブキャンペーンにも協力している

 Starscapeのコスプレ配信者(Costuberと呼ばれる)は、それぞれ独自の設定を持つキャラクターに扮する。VTuberと比べ、Costuberは2D/3Dモデルを必要としない。Saiko NoriZen Kismetは、この方法で配信しているタレントの一例だ。

 では、Starscapeでのタレント活動はどのように始まるのだろうか。Venu氏によると、彼らはVTuberのオーディションを年に2、3回開催し、候補者がアニメやコンテンツ業界、ゲーム、あるいはそれらに類する趣味に対する情熱を持っているかどうかを評価しているという。

 「オーディションでは、アニメコミュニティの一部でもあるVTuberコミュニティに響くような面白いコンテンツを作れる人材を探しています。

 ゲーム・楽器演奏・歌唱などのスキルも評価の重要な要素です。私たちは基本的に、楽しく魅力的で、自分の興味に情熱を持っている人材を求めています。こうした資質は、VTuberのファンとつながり、楽しませるために不可欠です」。

https://www.youtube.com/watch?v=CAfRVRfe244
Starscapeに所属するCelestia Voidは最近、配信3周年を迎えた

事務所の運営

 Venu氏は、配信者事務所の運営は楽しみであると同時にチャレンジでもあると考えている。

 「事務所を運営する醍醐味は、配信者が作成したコンテンツをファンが楽しむ姿を見ることです。ファンが楽しんでいる様子を目の当たりにするのは、非常にやりがいがあります」とVenu氏は語る。

「しかし、もっとも難しいのは、ファンの心に響くコンテンツを継続的に生み出すことです。管理チームとクリエイターは、配信やショートコンテンツについて常に新しいアイデアを模索し、取り入れる必要があります。

 新鮮で魅力的なコンテンツを継続的に探すことは、多くのリサーチや実験、創造性が必要なので、チャレンジングであり、楽しくもあります」。

市場の認識

 インドにはメジャー視聴者向けのコンテンツが多数あるため、マイナーのプロデューサーが独自コンテンツを提供するのはすでに困難な状況だ。Project Starscapeがターゲットユーザーにどのように受け止められているか、Venu氏に尋ねた。

「Starscapeのタレント、特にVTuberに対する一般の人々の反応は好意的です。

 徐々にではありますが着実に成長していて、これは私たちの思惑と一致しています。視聴者数がクリティカルマスに達するか、メジャーで認知されるまでは、成長のペースは遅いだろうということは予想していました。

 緩やかなペースではありますが、成長は着実で複数のチャンネルにまたがっており、一般の人々からの関心と評価が高まっていることを示していると思います」。

Project Starscape所属のVTuber/配信者の一覧(画像出典:公式サイト)

Project Starscapeの後に続きたい人たちへ

 最後に、Venu氏は後に続こうとする人たちに向けて語った。

 「視聴者が何を伝えようとしているのか、たとえそれがダイレクトに語られていなくても、細心の注意を払ってください」。

 Venu氏は、分析の行間を読むことを求めている。視聴者が何を望んでいるか、どのように行動するかに関する貴重な情報が得られるからだ。これらの情報をよりよく理解することで、コンテンツやエンゲージメント戦略をどのように強化すべきか、情報に基づいた判断ができるようになるだろう。

本記事の制作に協力してくれたProject Starscape、FreshTea、Celestia Voidに感謝する。


※この翻訳記事のサムネイル画像および本文中画像はProject Starscape公式サイトのスクリーンショットから作成しました。